北京盧溝橋での「戦勝75周年」の記念式典に続き開催された座談会での習近平主席の演説は、日本のマスコミでは「中国と日本は隣国だ」と述べ、対日関係の改善を図った内容だと報じられています。
しかし中国内や世界各国の中国語メディアで報じられている演説の内容を読むと、演説の主題はポンペオ演説に反論しつつ、対米徹底抗戦を謳った演説でした。
米国ポンペオ国務長官が7月23日にカリフォルニア州のニクソン大統領図書館で行われた「共産主義中国と自由世界の未来」と題する演説の中では、中国人民に対して中国共産党の行動を変えさせようと呼びかけました。
それ以後トランプ政権高官の発言は、「中国共産党」と「中国人民」の言説を明確に区別しているとの見方が主流になっています。
習近平の演説はどのような者だったでしょうか?
習近平は「中国共産党と中国人民を分離して敵対させようとするいかなる者や勢力の試みも、中国人民は絶対に受け入れない!」と明確に述べています。
演説では抗日戦争勝利につて「抗日戦争における中華民族の大勝利は、中華民族の歴史と人類の正義の歴史に永遠に刻まれるだろう。」と述べ、「中国人民が抗日戦争に勝利してからの75年間で、中国は激変した。中国共産党は、世界に名高い発展の成果を生み出し、中国の特色ある社会主義の道を成功裏に切り開き、中国の特色ある社会主義の新時代に突入し、貧困との闘いに勝利し、中華民族の偉大な復興を切り開いた。」と、中国共産党が中国人民と一緒に新時代を切り開き、偉大な復興を成し遂げたことを強調しました。
そして「中国共産党の指導力を堅持し、人民中心主義を堅持し、闘争の精神を堅持し、揺るぎなく平和的発展の道を歩んでいかなければならない」と述べ、中国共産党が今後も中国人民に寄り添って歩んでいくことを強調しました。
その上で、「いかなる人物や勢力が中国共産党の歴史を歪曲したり、中国共産党の性質と目的を誹謗中傷したりする試みを、中国人民は決して受け入れない。」と、暗にポンペオ発言を非難しました。
そして冒頭に紹介した、「中国共産党と中国人民を分離して敵対させようとするどんな勢力の試みも、中国人民は絶対に受け入れない!」につながります。
習近平の演説をしっかり見れば、演説は最近のアメリカ政府高官の圧力に対して反論していることがわかると思います。「対日関係の改善」は、対米抗争を少しでも有利に進めるための対策であることもよくわかります。
この演説では、習近平は対米徹底抗戦を決意し、世界に向けて宣言したことが窺えます。しかし武力衝突を起こすつもりは無いだろうと思います。その根拠は先月の弾道ミサイル発射演習の失敗で、軍事的には人民解放軍は米軍の敵では無いことがはっきりしてしまったことです。
https://deepredrose.hatenablog.com/entry/2020/08/31/150000
ミサイル発射演習では4発のミサイルを発射し、1発は行方不明になり、1発は目標のはるか手前の山中に落下し、かろうじて目標海域に到達した2発も目標船には命中せず、結局4発とも外れた大失敗でした。
男装ミサイルは空母キラーと呼ばれているそうですが、当たらなければ唯の海洋廃棄物です。自国の大都市に落ちる危険性を考えたら、改良が済むまでは怖くて使えませんね。(それでも使いかねないのが中共ですが)
米軍にしてみてれば、戦う前に敵ミサイル群を封じ込めてしまったようなモノです。
習近平政権にしてみれば、武力衝突を起こさないように、徹底光線をしなくてはならないので、難しい舵取りが続きます。中国国内では対立する李克強首相を更迭して政権を安定させるつもりだ、との噂も広がっており、目が離せない状況が続くようです。
参考資料
<rfi>习近平:任何人企图把中共和中国人民割裂、对立,中国人民绝不答应
http*://bit.ly/2Z2EX56
http*://bit.ly/3jOtPB5
<新华网>习近平的这五句话,掷地有声!(附全文)
http*://bit.ly/3hYZE9K