アメリカ政府が中国人留学生にはビザを発給しないと発表したのが7月のことでした。それから2ヶ月が過ぎて新学期が始まっても、留学生たちの混乱は続いているようです。帰国の途についた”元”留学生たちも、アメリカの空港で犯罪人取調のようなチェックを受け、パソコンや携帯電話を差し押さえられた事例もあるようです。
今年の5月には、アメリカ政府が中国人留学生の学生ビザ取り消しを計画していることが明らかになり、7月6日に新学期の授業が新型コロナ流行を理由にオンラインで実施する場合には、そのような教育機関に在籍する留学生に対してビザを発給しないと発表しました。
該当する教育機関にはハーバード大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)などの名門大学も含まれ、多くの優秀な留学生が学び、研究していたのですが、アメリカ政府の「留学生追放」政策により、帰国または対面授業のある教育機関への転学を迫られました。
9月になって新学期が始まっても帰国する”元”留学生が多くいますが、アメリカ政府は最近になって、中国人留学生の出国審査を強化し始めていて、多くの中国人学生や研究者が出国審査の時に”尋問”を受け、中にはパソコンや携帯電話、ゲーム機などの電子機器が差し押さえられ、未だに返却されていない人もいるそうです。
多維新聞というニューヨークに拠点を置く中国語サイトに、最近帰国した元米国留学生の张氏の体験談が載せられていました。
張氏は出国審査の時の税関捜査官の態度は、「技術を盗むためにここに来て、技術を持ち出すのでは無いか」との先入観を持って取り調べを受けたと、不満げに語ったそうです。張氏はこれは純粋な嫌がらせだと主張しており、本当に盗みたいならクラウドで送ればいいだけだと憤慨していました。
張氏は、米国留学中には中国国家奨学基金委員会から奨学金を受けていたほどの優秀な学生だったのですが、出国審査ではこれが仇となり、税関捜査官は「中国政府から資金提供あるということは、中国政府がすべての研究プロジェクトに直接指示や影響を与えているのでは無いか」と疑いを持ち、張氏は税関捜査官を説得できなかったそうです。
張氏は、アメリカの学力水準に感銘を受けたそうですが、空港での尋問にうんざりして、もうアメリカには戻らないときまたそうです。さらに、まだアメリカに滞在している中国人の友人には、早く帰国するように説得し始めたそうです。
ちなみにアメリカでは通常法執行官が他人の電子機器を調査する場合には、裁判所が承認した令状が必要ですが、空港は例外で税関捜査官が乗客の電子機器を捜索するのに必要なのは「合理的な疑い」だけである。
日本では中国人留学生に対してのビザ規制は実施していませんが、今後の米中対立の深刻化に伴って、アメリカから強制される可能性はあります。留学生のビザ規制までしなくても、留学生のアルバイト禁止は必須だと思います。
現場の留学ビザだと、週28時間以内ならアルバイト可能になっていますが、アメリカでは留学ビザではアルバイトできません(キャンパス内のアルバイトは週20時間以内なら可能です)。「留学」なのですから学業優先は当然でしょう。
今は留学を名目にして働きに来る外国人と、安い労働力を確保したいだけのブラック経営者の思惑が一致していますが、賃金が安く抑えられてしまうことは、一般の善良な日本人にとっても善良な外国人にとっても弊害でしかありません。
実際にアルバイトする外国人留学生にとっても、ブラックな職場から逃げ出す人も多いと聞きますから、結局ブラック経営者が搾取するのを助けているだけとも思えます。そのようなブラック経営者には日本の経済界から退場していただき、健全な社会を築くためにも留学生のアルバイト禁止は絶対ですね。
留学生の生活費はどうするの?と言われそうですが、生活できる程度の奨学金をもらえるような優秀な学生に来て欲しいですし、今でも日本政府は留学生に対しては、かなりの奨学金を出しています。日本人学生よりも優遇していると言って国会でも問題になりそうな雰囲気です。
話は少々脱線しましたが、アメリカの中国人留学生追放政策は、やりすぎ感はありますが、アメリカからの圧力で日本政府も実施するかもしれません。そうでなくても留学ビザで来日した場合には、学業以外の活動は禁止または制限することは必要だと思います。
参考資料(*->s)
<多維新聞>中国留学生在美机场遭盘查:太可怕了 开始劝说朋友回国
http*://bit.ly/2GCXrmD
<JBpress>寝耳に水の「留学生追放」、トランプ政権の深謀遠慮
http*://bit.ly/2GySvyZ
米ビザに怒る中国人留学生 新規定でネット授業のみなら出国必要
http*://bit.ly/2R1JNvc