アメリカが中国の新疆ウイグル自治区で強制労働によって作られている製品の輸入を禁止すると発表しました。禁輸の対象となるのは綿花、繊維製品、衣料品、毛髪製品、コンピューター部品です。EU首脳は習近平首席とのオンライン会議で独立監視団の新疆ウイグル自治区への派遣を要求しました。人権問題での欧米からの圧力に対して、中国外交部が反論しました。
中国外交部の汪文斌報道官は15日の定例記者会見で、欧米へのコメントを発表しました。
『米国側がいわゆる「強制労働」問題を口実にして、関連する中国企業を抑圧することに利用し、国際貿易ルールに違反して世界の産業チェーン、サプライチェーン、バリューチェーンを破壊しており、これは赤裸々ないじめ行為であり、中国はこれに断固として反発している。』
『「強制労働」問題は、一部の米国や欧米の機関や関係者による完全な捏造であり、事実と深刻に矛盾している。新疆籍の少数民族労働者は、中国の労働者の一部として、あらゆる権利と利益を法律で保護されている。彼らの個人的な自由が制限されることはなく、彼らの習慣、宗教的信条、言葉や文章は法律で守られている。「強制労働」とはどこから来ているのか?』
『我々は米国側に対し、事実を尊重し、偏見を捨て、政治的工作を止め、国境関連の問題を利用して中米企業間の正常な経済貿易協力を妨害し、弱体化させることを止めるよう求める。中国は、中国企業の正当な権利と利益を保護するために必要なすべての措置を講じていく。』
『(EU首脳の独立監視団の新疆ウイグル自治区への派遣要求に対して)推定有罪の調査に反対する。EU側に存在する難民問題は解決が遅れ、人道危機が何度も訪れている』
ブログにも書いたとおり、世界で販売されている綿製品の約5分の1が新疆の綿や糸を使用していると推定されています。このような状況で「新疆綿を使った製品」の輸入禁止ができるのか疑問の声もありますが、H&Mが中国の製糸業者との関係を断つと発表するなど、アメリカ以外でも禁輸の動きは出ているようです。
(この会社はどうするのかなぁ。。。)
ただし禁輸するのは、強制労働で作られた製品です。新疆綿全てが対象というわけでは無いことは注意が必要です。
ところで1月の米中第1段階の貿易協議では、米国産綿を中国が追加購入することになっていたのですが、新疆綿の輸入禁止処置で貿易協議がどうなるのか不明瞭になりました。米中貿易対立の解決は遠のいてしまうのでしょうか?
汪文斌報道官は「強制労働」問題は完全な捏造であり、あらゆる権利と利益は法律で保護され、個人的な自由が制限されることはない、と言い放っています。
それが本当なら、EUが要求する独立監視団を拒否する理由が見当たりません。中国側に後ろめたいことがあるから拒否しているのでしょう。
参考資料*>s
<北京日报>美国借口“强迫劳动”制裁新疆棉制品,外交部回应
http*://bit.ly/3hAyt43
<中国棉花网>美国暂时搁置新疆棉禁令 增加对其他新疆实体的限制
http*://bit.ly/2RxUO7U
<AFP>「強制労働」疑惑めぐり、H&M 中国業者との取引打ち切りへ
http*://bit.ly/2E7Tfu4