今月末に中国共産党第19期中央委員会第5回全体会議(五中全会)が開かれます。主な議題は来年から始まる第14次5カ年計画の策定ですが、長期政権を狙う習近平総書記が2035年までの長期目標も策定しようとしています。なぜ”2035年”なのでしょう。
今年の五中全会は10月26日から29日まで開催されます。議題は中央政治局から中央委員会への報告と「第14次5カ年計画と2035遠景目標」の策定です。
五中全会に先立ち9月末の政治局会議では、「中国共産党中央委員会業務条例」が審議・策定されました。この条例には「習近平を中心とした中国共産党中央委員会の権威と中央集権的・統一的な指導力を保障する」と記されています。
アメリカに拠点を置く中国語メディアの「希望之声」は、議題について分析した記事を掲載しました。
記事によれば、第14次五カ年計画と2035遠景目標の組み合わせは珍しいもので、彼の個人的な権威を確立するだけでなく、長く政権にとどまりたいという習近平の野心を明らかにしているという有識者もい流とのことです。
習近平は憲法を改正して国家主席の任期制限を撤廃しましたが、目指しているのは2035年までの長期制限だと言われています。「中国共産党中央委員会業務条例」が策定されたことにより、条例が撤廃されない限り、確実に習近平氏は中央委員会の中核を維持するだろうと推定さあれています。
実質的な長期制限という意味では、江沢民元主席は在任中(1989~2002年)に「2010遠景目標」を立てて後継者の胡錦濤前主席にそっくりそのまま引き継いだという事例があり、習近平も同じ意図を持っていたとされています。
しかし憲法改正に加えて、「中国共産党中央委員会業務条例」の策定によって直接指導者の立場で2035年を迎えるつもりだろうとの見方が主流となっています。
ではなぜ2035年なのでしょうか?習近平が尊敬し目標とする毛沢東に関係があります。毛沢東は建国してから1976年に亡くなるまで中国の最高指導者の立場にいました。亡くなったときの年齢は82歳でした。
1953年生まれの習近平が82歳になるのは2035年です。これが習近平が2035年まで最高指導者に居座りたい理由だと考えられています。
国家主席の任期制限は撤廃されているのに、さらに「中国共産党中央委員会業務条例」によって習近平の指導力を保障するのは、権力を失うことへの習近平の恐れを反映していると記事では指摘しています。
現在の米中冷戦に加え、国内の経済危機や金融危機がいつ勃発してもおかしくない状況で、中国内には内憂外患ともいえる不平不満が渦巻いています。
中国共産党に限ってみても、習近平と李克強の対立が噂されたり、中国共産党全体に、習近平に対する非常に多くの恨みがあり、最終的に何時爆発してもおかしく無いと言う有識者もいるほどです。
このような状況で、習近平は「中国共産党中央委員会業務条例」を促し、中央委員会の管理を強化することで、政権転覆工作を防ごうとしていると指摘しています。
習近平が長期政権を盤石なものにするのか、権力闘争の負けて失脚してしまうのか、今年の五中全会からは目が離せません。
五中全会の開催期間は10月26日から29日です。
参考資料
<希望之声>五中全会前两重磅文件 泄露习的野心和恐惧?
http*://bit.ly/3nmI0zI
<人民日報>中国共产党中央委员会工作条例
http*://bit.ly/3nHjU30