中国国営中央テレビ(CCTV)は、特別番組で台湾のスパイ事件を報じました。番組の中で容疑者とされた台湾人ビジネスマンの李孟居氏は”過ちを認めて謝罪”しました。背景には台湾独立の動きを封じ込めたい中国中央政府の思惑が。
特別番組が報道されたのは10月11日の事でした。番組では「台湾スパイを複数拘束した」と報道し、囚人番号の付いたオレンジ色のベストを着た台湾人の李孟居氏が、「申し訳なく思う。過去に悪事を多く働いたことを反省している。」と懺悔する場面も放映されました。
台湾で対中国政策を担当する大陸委員会は報道を受け、「スパイ活動などとする指摘は悪意ある政治宣伝であり、中台関係を損なう」と批判した。
CCTVの報道によると、台湾人の李孟居氏は昨年の8月に、香港の反送中デモに参加して香港デモを支持するビラを巻き、その後深圳で武装警察の訓練の様子を撮影したとして中国国家安全保障当局に拘束されました。
李孟居氏が撮影したのは16本の動画と48枚の写真でしたが、国家安全当局幹部は番組で「(李孟居氏の撮影は)部隊の規模が把握でき、明らかに国家安全に危害を加えた」と説明しました。
押収された撮影機材
しかし、深圳にいた武装警察の訓練の様子は、中国メディアだけでなく外国メディアも動画で報道していました。当時は香港のデモ隊に対する威嚇の意味もあるとされていました。国家安全当局の説明には無理があります。
李孟居氏が台湾国際連合協会の会員でもあり、この団体の目的の一つが、台湾を国際連合への再加盟を推進し、台湾を独立した正常な国家とする事です。
中国当局にとっては「台湾独立」は禁句であり、敏感に反応する語句となっています。李孟居氏が台湾独立を目指す団体に所属していることも、CCTVの特別番組で晒し者にされた理由の一つでしょう。
今年に入ってチェコの議員が台湾を訪問したり、アメリカ政府高官が台湾を訪問したり、中国共産党の神経を逆撫でする様な出来事が続いていますので、北京はかなり苛立っているのでしょう。
香港を国家安全維持法で制圧した中国共産党にとって、次の目標は「台湾統一」です。そのためにも台湾独立派を潰しておきたいのでしょう。
台湾側はこの件に対してどの様に対応しているのでしょう。
台湾の大陸委員会は11日夜に書面で、「中国共産党が、いわゆる台湾スパイ事件のようなナンセンスな操作をするのは、悪質な政治的憶測だ。台湾人がスパイ活動に従事していると嘘をついて台湾関係者を非難し、台湾との関係を意図的に貶め、台湾の自由で民主的で法に基づいた社会の正常な機能を妨害し、全く理由もなく台湾人に濡れ衣を着せたものである。」と非難しました。
さらに大陸委員会は、「中国共産党が、人々に自分の過ちを認めさせるためのプロパガンダを行っていることは、法の正当な手続きとは全く矛盾しており、このような正義と人権を侵害しているという不当な告発は、国際社会から長い間非難されてきた。」と述べました。
台湾与党の民進党議員からは、中国が被告人や刑事事件の関係者に自白を要求するのは、人権に関する法の支配がない国である証拠だとのコメントもありました。
別の民進党議員からは、「中国共産党の独裁政権下では、共産党がスパイを必要とすれば、あなたはその場でスパイになります。共産党があなたに消えてほしいと望めば、あなたは即座に消えます。」との指摘もありました。
今年になってからも、外国と対立するとすぐに、都合よく相手国人が犯罪を起こして逮捕されていますよね。オーストラリア人は死刑判決を受けてます。
日本人も中国に行ったら気をつけましょう。いつスパイ容疑で拘束されるかわかりません。実際に何人もの日本人が中国で拘束されていますが、保釈され帰国した後も、中国で何が起きたのか詳細が報じられる事がありません。日本のマスコミが大人しいのが不思議です。
参考資料
<美国之音>台湾人李孟居在中国央视“台谍案”节目中“认错” 陆委会:恶意诬陷政治炒作
https://point.gmo.jp/member/registration?uid=u951BhMxjOJ1wBOBXPo6TA==
http*://bit.ly/3lBtvX5
<環球時報>重案公布:“台独”分子李孟居曾潜入深圳偷拍武警集结视频图片
https://www.pointtown.com/invite?id=nwkJAfHk68qjH
http*://bit.ly/312WFXj