日本ではほとんど報道されない南シナ海問題。香港メディアが2枚の衛星画像を掲載しました。衛星画像は南シナ海のヨンシュール礁の空港滑走路に姿を現した、中国の国内輸送機「運20」を撮影した画像でした。
アメリカに拠点を置く、世界中の華人向けメディアの世界新聞網の報道によりますと、香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙に掲載された2枚の衛星画像は、米国Maxar社の製品管理責任者ケンジョイス氏がSNSに投稿した画像で、南シナ海のヨンシュール礁の空港滑走路に姿を現した、中国の国内輸送機「運20」を撮影した画像で、12月2日に撮影されたものとされています。
運20は、全長47m全幅50m、最大積載量55t、最大航続距離7500 kmの、中国人民解放軍の主力大型輸送機で、 中国が南沙諸島に輸送機を配備するのは初めてです。
運20輸送機
情報筋は、運20の輸送能力をテストし、南シナ海での中国の迅速な対応を強化するために永順礁に配備されたと述べています。
2020年12月25日、中国がレーダーや通信設備を備えた前哨基地として建設した、南沙諸島の永暑礁に運20が現れました。
続いて2020年12月29日から2021年1月7日まで、海南島の南西部、南部、南東部海域で軍事演習が同時に行われると発表されました。演習には中国人民解放軍の空母「山東」と075式水陸両用突撃艦が参加し、演習中は許可されていない船舶の進入が禁止されています。
運20輸送機は、装甲車やミサイル発射装置などの重い軍事装備を搭載できるため、南シナ海の前哨地に部隊と装備を移動させる能力を実証するために、今回の演習を利用している可能性があると指摘する有識者もいます。
有識者はさらに、「中国は米国からの圧力に対抗するために、南シナ海での軍事的存在感を維持しようとしている」と指摘しています。
中国は南シナ海に独自に「九段線」を引き、勝手に領有権を主張してきました。
地図を見ても明らかなように、舌のように南に伸びた領域は、周辺諸国が領有権を主張する海域と干渉しています。
周辺国の一つフィリピンが、領有権争いを解決するために、仲裁裁判所に訴え、2016年7月12日に下った裁決は、九段線は国連海洋法条約(UNCLOS)違反であり無効とするものでした。
これに対して中国は猛烈に反発し、「裁定は無効であり、拘束力を持たず、中国は受け入れず、認めないことを厳粛に声明する」として裁定を無視し、2020年4月18日には南シナ海に行政区を設置し、領有権主張をますます強めています。
中国のこの態度は国際社会の反発を買い、米海軍が航行の自由作戦と称して、南シナ海と台湾海峡を軍艦に航行させたり、南シナ海で軍事演習を行ったり、中国へ警告を出し続けています。
フィリピン、オーストラリア、カナダも中国の南シナ海違法占領を非難しています。
南シナ海問題は、日本ではほとんど報道されませんが、中国は広東省など中国南部への弾道ミサイルの配備を強化しており、軍事的緊張は確実に高まっています。
南シナ海のシーレーンは、日本にとっても死活問題であり、もっと関心を持つべき問題です。
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参考記事 *>s
<世界新聞網>中國決心南海抗美 港媒:永暑礁部署運20
http*://bit.ly/3ncHaEs