ノルウェーでファイザーワクチンの投与を受けて33人が死亡したことを受け、中国の公式メディアは直ちに記事を掲載し、mRNAワクチンの安全性はまだ証明されていないとして、ノルウェーなどにファイザー社やモデナ社などのmRNAワクチンの投与を中止するよう呼びかけました。(1月19日追記 死者数が33人に増えました)
ノルウェーでは昨年11月に、ファイザー社とバイオエヌテック社製ワクチンの接種が開始されました。オスローの高齢者施設の入居者がまず対象となり、すでに合計2万5000人超がワクチン接種を受けています。
ワクチン接種後に33人の死亡が確認されており、すべての死亡事例は免疫力の下がった80歳以上の高齢者で、そのうち13人の検死では、ワクチンの副反応が重症化した可能性があることが示されたとノルウェー医薬品局は述べています。
ノルウェーの事件を受けて、中国公式メディアの環球時報が、中国の保健専門家を引用した記事を掲載し、大規模なヒトへの使用を目的としたmRNAワクチンの安全性はまだ証明されていないとして、ノルウェーなどにファイザー社などのmRNAワクチンの投与を中止するよう呼びかけました。
環球時報の記事では、武漢大学のウイルス学者楊占秋の発言として、ファイザー社のワクチンをはじめとするmRNA技術を用いたワクチンの効果は、期待されるほどのものではなく、mRNAワクチンの反応中に有害物質が発生する可能性があり、絶対的な安全性を確保することが難しいことを意味していると報じました。
楊占秋はまた、現在中国で使用されている不活化ワクチンは、より成熟した技術に基づいており、そのような問題はないと述べています。
記事では、ノルウェーの件が関係しているんかどうか解明していないが、最近中国からワクチンを買う国が増えており、ハンガリーはシノファームと新型コロナワクチンの購入で合意に達したと報じています。
ハンガリーで承認されれば、ハンガリーはEU諸国で初めて中国製ワクチンの接種を受けることになり、最初の100万回分のワクチンが確保されているとのことです。
中国製ワクチンは、ブラジルの臨床試験での有効率が50.38%と、ファイザー社の有効率95%やモデルナ社の94.1%に比べるとかなり低くかったため、汚名を挽回しようと中国メディアがノルウェーでの事件を持ち出してきたように見えます。
しかし、ノルウェーでのファイザーワクチン接種後の死亡例は全員が高齢者でした。中国製ワクチンはどうなのか見てみると、中国国内での中国製ワクチン接種では、18歳から59歳までの年齢制限を設けています。
60歳以上が接種対象から外れた理由は、安全性の確認が不十分なので、更なる臨床試験の結果を待つ必要があるからでした。もしもノルウェーで中国製ワクチンが使われていたら、結果がどうだったかは神のみぞ知ることですね。
いずれにしても、ノルウェーのことも「ワクチン外交」に役立てる、中国のしたたかさは見習うべきかもしれません。
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参考記事 *>s
<环球时报>挪威23名老人接种新冠疫苗后死亡
http*://bit.ly/2KpQTKn
<世界新聞網>挪威接種輝瑞疫苗造成23死 中國新冠疫苗變搶手
http*://bit.ly/39AVCkR
<多維新聞>挪威33名老人接种辉瑞疫苗后死亡 澳大利亚采取行动
http*://bit.ly/2M44R4O