2日間にわたるアラスカでの米中対話が終了し、米国側は「厳しく率直」な会談だったとし、中国側は「深刻な相違点」があったと述べています。
3月18、19日の2日間にわたる米国アラスカ州アンカレッジでの米中対話は、冒頭から報道陣の前で激しい非難の応酬が繰り広げられる異例の展開となり、幅広い問題について厳しく率直な話し合いが行われたようです。
米国ブリンケン国務長官は、米側が今回の会合を開催したことで、2つの目的を達成したと述べています。
一つ目は、中国の(ウイグル、香港、台湾などへの)行動に、米国や同盟国が深刻な懸念を持っていることを中国に伝えたこと。
二つ目は、米国のポリシーや優先事項、世界観を明確に打ち出したことを達成したとしています。
中国代表の楊洁篪共産党政治局員は、「2国間の戦略的コミュニケーションは、率直で建設的かつ有益なものだった。協議開始時の一触即発の状態から、協議終了時の率直で建設的で対話の目的を達成した」と評価しました。
当事国以外の評価はどうだったのでしょうか?米国議会の出資によって設立された短波ラジオ放送メディアの自由亜州電台が報じています。
台湾の聯合報は、「従来の中国共産党の外交官は、外交の場では常に姿勢の優雅さと言葉の機知に気を配ってきた。しかしアラスカでの楊洁篪は、じゃじゃ馬が口汚く罵る(潑婦罵街)のと変わらなかった」と酷評しています。
ワシントン・ポスト紙は、今回の対話はバイデン政権が中国の「戦狼外交」にさらされた初めてのケースで、このようなハイレベルの外交会議において、外交的な礼儀や機転が欠けていたことは、米中関係はうまくいくという幻想を打ち砕くものであったと評しています。
ワシントン・ポスト紙はまた、楊洁篪の「米国は中国の前で、強者の立場で話をする資格はない。中国はこれを受け付けない。」との発言は、習近平総書記を喜ばせるための発言と喝破しています。
中国の公式メディアは、1901年の義和団の乱後の清朝政府と列強との会談と今回の会談を対比させて、「1901年も2021年も辛丑の年だが、中国は同じ中国ではない。」と報じました。
英国のタイムズは、米国はこれほどの戦略的ライバルを持ったことはなく、中国との対決はバイデン氏の任期中の外交政策にとって決定的な要因になると指摘しています。
スペインのヴァンガーディア紙は、今回のハイレベル対話は、世界の覇権をめぐる米国と中国の競争の縮図であるとしました。
同時にヴァンガーディア紙は、経済的には近いうちに中国が米国を追い抜くといわれているが、政治的な駆け引きを超え、持続可能な2国間の共存のための新しいモデルを見つけなければならないと指摘しました。
オランダのテレグラーフ紙は、対話での米国の強い姿勢は、強い米国が戻ってきたことを宣言し、米国が経済的にも軍事的にも依然として世界の大国であることを、中国や世界に見てもらいたいと考えていると指摘しています。
米国のネットユーザーは、楊洁篪の「米国は中国の前で、強者の立場で話をする資格はない。中国はこれを受け付けない」の発言に怒り、「米国政府は屈辱に対して決して黙っていない」「怒った米国はすぐに中国の相手から中国の敵になるだろう」と投稿しています。
各国メディアが米中関係の今後を、心配しながらも気にかけている様子が見て取れます。
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参考記事
<自由亜州電台>美中高层会晤针锋相对 全世界都在为其打分
http*://bit.ly/3f1z6WF