アメリカ・ニュージャージー州のヒンドゥー寺院が、インド人を過酷な労働条件で建設作業をさせていたと訴えられました。中国政府は、この件をアメリカにおける強制労働として非難しました。
ヒンドゥー教の著名宗派BAPSが、米ニュージャージー州ロビンズビルにあるアメリカ最大のヒンドゥー寺院の建設作業に、インドでカースト最下層のダリット（Dalit）の人々を勧誘し、時給1.2ドル（約130円）で働かせていたとして訴えられています。
5月11日に提起された集団訴訟によると、BAPSはシュリ・スワミナラヤン寺院の建設事業をめぐり、約200人のダリットの男性を数年間にわたって搾取したとされています。
AFPの報道によりますと、現在はインドの自宅に戻っている原告6人は、月給450ドル（約5万円）で週87時間を超える労働を強制され、休日は年に数日だけで、時給換算ではたったの約1.2ドルしか受け取っていないと主張しています。
訴状によると、ダリットの男性らはニューヨークのケネディ国際空港に着くやいなやBAPS関係者にパスポートを取り上げられ、出国できない状態で働かされました。
現地ではフェンスで囲まれた敷地内に閉じ込められ、警備員と監視カメラに見張られた生活を強制され、BAPS関係者の同行なしに敷地の外に出ることは許されず、寺院を訪れる人たちとも会話してはならないと指示されていたといいます。
原告6人は、2018年から昨年末までシュリ・スワミナラヤン寺院で働かされていたとして、損害賠償を求めている。
中国外交部の趙立堅報道官は、5月19日の定例記者会見で、ヒンドゥー寺院の件を質問され、以下のように答えました。
『インド人労働者が週に87時間以上の労働を強いられ、時給はわずか1.20ドルで、アメリカや関連する州の法律で定められた最低賃金をはるかに下回っているとされる報道に注目しています。』
『しかし、このケースはアメリカでの孤立したケースではなく、アメリカでの労働者の権利侵害の一例に過ぎません。』
『強制労働という点では、アメリカの方が古典的な反例と言えるでしょう。強制労働が奴隷制の産物であることは誰もが知っていることであり、米国には黒人奴隷に対する人身売買、虐待、差別の何世紀もの歴史があります』
『アメリカの奴隷所有者が黒人奴隷から搾り取った労働力の価値は、現在の価格で14兆円に達するという統計があります。 今日に至るまで、米国には強制労働の遺産が深く根付いており、その犠牲者は黒人奴隷から移民に変わっただけです。』
『関連する統計によると、過去5年間に全米で強制労働と人身売買の事例が報告されています。』
『2019年だけでも、FBIは1,883件の人身売買を報告しています。 データによると、毎年10万人もの人々が国外から人身売買され、米国全土で強制労働を強いられており、家事労働、農業、観光、販売、レストラン、医療・美容サービスなど、20以上の産業で強制労働が目立ちます。』
『米国における労働者の権利侵害、特に強制労働の深刻な現象を深く憂慮しており、米国政府が労働者の正当な権利と利益を保護するための効果的な措置を講じ、批准した国際労働条約を効果的に実施することを求めます。』
今年の3月25日には、中国外交部の華春瑩報道官が、「ウイグル人の強制労働」という非難に対して、「アメリカの黒人奴隷制度」を持ち出して反論しました。
今回は趙立堅報道官が、アメリカで訴訟が起きた、過酷でブラックな労働環境を責め立て、暗にウイグル批判をかわそうとしています。
こんなことで誤魔化されるほど欧米諸国の目は節穴ではありません。
公明党の山口代表といい、ファーストリテイリングの柳井会長といい、日本の政財界もそろそろ目覚めてくれるといいのですが。
参考記事
<腾讯网>外交部：对美国严重强迫劳动现象深表关切
http*://bit.ly/3wxZPQn
<駐日中国大使館Web>2021年5月19日外交部发言人赵立坚主持例行记者会
http*://bit.ly/3u7DDuy
<AFPBB News>ヒンドゥー教著名宗派、米寺院建設で印カースト最下層民を強制労働か
http*://bit.ly/33X22Zl
