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中国第七回人口調査の5つのポイント  発表延期の1ヶ月間に統計データはどうイジられた?

昨年2020年に実施された第七回人口調査(日本の国勢調査にあたる)の結果は、予定よりも1ヶ月以上遅れて発表されました。中国の人口は14億1178万人で、2010年の第6回国勢調査の13億3,972万人に比べて7,206万人増加し、2010-2020年までの年平均増加率は0.53%となり、2000-2010年までの年平均成長率0.57%に比べて0.04ポイント減少しました。

 

 

  アメリカ合衆国ニューヨークに拠点を置き、中華人民共和国の政治ニュースを専門的に扱うメディアの多維新聞の記事から。

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  2020年に行われた中国の第七回人口調査は、公式発表が当初の予定から大幅に遅れたことから、海外メディアからは中国の人口がマイナス成長に陥り、14億人を割り込んでいる可能性があると報じてられていました。

 

  しかし5月11日の公式発表では、2020年の出生数が1,200万人と減少したにもかかわらず成長を維持していました。

 

  10年前の第6回人口調査と比較すると、出生時の男女比、都市と農村の人口構成、教育を受けた人口のすべてが改善されており、 具体的には、大きく分けて5つのポイントがあります。

 

  まず第一に、地域別の分布レベルでは、中国東部の人口が39.93%、中部の人口が25.83%、西部の人口が27.12%、東北部の人口が6.98%となっていました。

 

  2010年と比較して、東部では2.15ポイント増加、中部では0.79ポイント減少、西部では0.22ポイント増加、東北部では 1.20%ポイント 減少しています。 

 

  これは、中国の人口が東部の上海や沿岸部など、比較的経済的に発展した地域や都市の集積地にさらに集中していることを反映しています。

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  第二に、都市部に住む人口の割合は63.89%、農村部に住む人口の割合は36.11%で、都市部の人口は2010年から14.21ポイント増加して農村部の人口を上回り、都市化率はさらに上昇しています。

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  第三に、性別構成のレベルでは、中国の人口に占める男性の割合は51.24%、女性の割合は48.76%、総人口の性比(女性を100とした場合の男性と女性の比率)は105.07でした。

 

  出生時の男女比例は111.3で、2010年に比べて6.8減少しており、中国の人口の性別構成は引き続き改善されていることがわかります。

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  第四に、中国の人口の年齢構成は、全人口に占める0~14歳、15~59歳、60歳以上の割合は、それぞれ17.95%、63.35%、18.70%でした。

 

  2010年に比べてそれぞれ1.35ポイント増、6.7ポイント減、5.44ポイント増となっています。

 

  一方、中国の65歳以上の高齢者の割合は13.5%に達し、2010年に比べて4.63ポイント増となっています。中国の高齢化がさらに深まっていることは間違いありません。

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  第五に、教育レベルについては、大学教育を受けた人が2億1836万人となり、人口10万人あたりの大学教育を受けた人の数は15,467人であり、2010年の8,930人よりも大幅に増加しています。

 

  また15歳以上の平均学校教育年数は9.91年と、2010年の 9.08年から増加しました。

 

  文盲率は2010年の4.08%から、2020年は2.67%に低下しており、 人口の質がさらに向上しました。

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  人口構造については、中国が直面する状況は依然として危機的です。

 

  まず第一に、高齢化と少子化の問題があります。 国連の基準では、高齢者人口が7%以上の国や地域は高齢化社会と考えられ、14%は「中程度の高齢化」を意味します。 中国では、65歳以上の高齢者人口の割合が13.5%に達しており、 高齢化の問題はすでに差し迫った問題となっています。

 

  同時に、中国の出生率は1990年の1000人当たり21.06人から2015年には1000人当たり12.07人に低下しました。

 

  2016年には「一人っ子から二人っ子への政策転換」の影響で、出生率はいったん回復しましたが、その後2017年からの3年間は継続的に低下し、2019年には1000人当たり10.48人にとどまりました。

 

  2019年の具体的な出生数は1465万人。2020年はさらに1200万人と低下しており、 さらに高齢化と少子化が進んでいます。

 

  少子高齢化の直接的な影響として人口ボーナスの減少が考えられますが、都市化率はまだ増加しており、人口ボーナスは「消滅」したわけではないと考えられます。 

 

  自動化された機器や人的資本への依存度が高い現代の産業システムでは、労働力の量の減少は、労働力の質と効率の向上によって補うことができます。

 

  中国国務院情報弁公室は、中国の超大型国内市場の優位性は長期にわたって存在すること、人口と資源環境のバランスが取れており、中国の労働資源は依然として豊富であり、人口ボーナスは依然として存在すること、人口の質が向上し続けると、才能の配当という新たな優位性が徐々に現れてくることなどが紹介されました。 ここが、中国と西欧や日本との違いと強調しています。

 

 

  最後の中国国務院のまとめに、人口調査結果が1ヶ月も遅れた理由を滲ませていることに気づかれましたか。

 

  『人口ボーナスは依然として存在すること、人口の質が向上し続けると、才能の配当という新たな優位性が徐々に現れてくる』ので、中国の発展はまだまだ続くと言いたくて、統計数字を調整していたのだと思われます。

 

  先のブログ記事でも書きましたが、2020年の総人口は中国の総人口は14億1178万人で、2019年の総人口14億5万人に比べて1173万人増加したことになります。

 

  2020年の出生数は3月には1004万人と発表していたものが、人口調査の発表時には1200万人に変わっていました。

 

  人口増現数は単純に考えれば、次式で表されるので、

  [人口増減数]=[出生数]ー[死者数]

 

  これに人口調査の数字を当てはめると、2020年の死者数は27万人ということになってしまいます。

 

  [死者数]とは病気や事故などで亡くなった方の総数です。

 

  日本の2020年の死亡者数は138万4544人でした。人口1億2千万人の日本でこれだけの方が亡くなっているのなら、中国は10倍以上の1500万人前後が亡くなっていても不思議はありません。

 

  しかも2020年には新型コロナの大流行で、かなりの犠牲者が出たはずなのに、その方々はどこへ行ってしまったのでしょう。

 

  第七回人口調査の不思議な結果は、多くの人が疑っているように、本当にデーターは中国政府にとって驚愕の結果だったのでしょう。

 

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参考記事

 <多維新聞>人口普|第七次人口普交答卷:五大看点三大隐忧

http*://bit.ly/3yA2Jpt