最近、中国の若者の間では、仕事を減らし、家も買わず、買い物もせず、結婚もせず、子供も作らず、人生の欲望を下げる姿勢を強調した「寝そべり主義」の旋風が起きています。公式メディアは「寝そべり主義」を「毒スープ」「恥さらし」「極めて無責任」と攻撃し、若いネットユーザーはこれらの意見をあまりにも「見下している」と非難しています。
中国の若者の間に広がりつつある「寝そべり主義(躺平主義)」とは何でしょうか。
平たく言えば、自分の欲望を抑えて、もはや過剰な追求をせず、最も基本的な生活に戻ることです。
今や自分の努力では婚姻費用を負担できないから結婚しない、不動産価格の高さを見ると、自分の努力では家を買えないので買わない、子供に質の高い教育資源と物質的な安全を与えられないので、産まない、ということです。
自分ではどうしようもないので、最低限の生活を維持することだけを考え、競争社会に巻き込まれることを拒否する考えを「寝そべり主義」と呼びます。
最近中国では家庭に蔓延する不安を描き、子供の育成に悩む多くの親の心を代弁したテレビドラマ「小舍得」が大ヒットしたそうです。
ドラマでは「競争社会(内巻現象)」や「鶏娃」などの新しい流行語が登場し、前者は社会において高い競争力が求められることを強調し、後者は中国の親が子供に高い競争力を求める姿を描いています。
一方では、最近、中国の若者の間で「寝そべり主義が正義」という投稿記事が話題になり、多くの人の共感を得ています。
記事では、「私は2年以上働いていない、遊んでいて何の問題も感じていない、人生のプレッシャーは主に競争から来るものだ」とし、多くの若者が同じ感情を抱くきっかけとなりました。
ネット上では、家も買わず、車も買わず、結婚もせず、子供も産まず、消費もせず、最低限の生存水準を維持する状態を強調した「寝そべり主義」が流行しました。
90後、00後と呼ばれる中国の若者世代は、早ければ幼稚園から競争にさらされ、365日授業を受けてスキルを磨き疲れ切って学生時代を過ごし、社会に出れば996と呼ばれる朝9時から夜9時まで週6日の激務に晒されています。
「寝そべり主義」の人々は、高くて狭い居住空間、いくらお金を貯めても、ローンを組んで家を買っても、車を買っても、結婚して子供を産んでも、人を満足させることも自分を幸せにすることもできないことに気づいています。
30年間の住宅ローンの支払いで、人生の前借りをさせられ、子供ができたら自分の恐怖の連鎖を子供に繰り返させなければならないことに気づいているのです。
このような若者の「寝そべり主義」に対して、清華大学教育研究部長の李鋒亮准教授は、寝そべり主義は無責任だと非難し、より良い結果を得るための努力をするようアドバイスしています。
しかし多くのネットユーザーは、李鋒亮准教授に対して反発し批判しました。
多くのネットユーザーは、「寝そべり主義は無責任」との見方は「慇懃無礼」であるとし、「寝そべり」というのは、苦労する気がないということではなく、現実的なさまざまな理由で「横にならざるを得ない」のだと反論する人もいました。
公式メディアは、「寝そべり主義」という選択の裏には、現代中国の若者が直面しているプレッシャーや苦難が浮かび上がってきて、社会の現状に対する不満が表現されていると危機感を持っています。
「人は往々にして、あまりにも簡単に手に入るものは大切にしません。いくつかの試練やプレッシャーを経て初めて、簡単には手に入らないものであることを知るのです。 努力が無駄にならず、努力が報われたことを実感してこそ、寝そべり現象は緩和されるのです」と論じています。
小中高での苛酷な学力競争、激烈な大学受験、社会に出ればサービス残業を含む長時間労働は、日本以上と言われる中国社会ですが、疲弊しきっているようです。
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参考記事
<多維新聞>中国新青年开始流行用“躺平”对抗“内卷”
http*://bit.ly/3wLsmBO
<自由亜州電台>年轻人为什么“躺平”? 官媒为何炮轰?
http*://bit.ly/3uCULJ1
<世界新聞網>低慾望「躺平主義」對不起父母? 清華教授與網民互嗆
http*://bit.ly/3yOGQmd
<网易>“躺平主义”对抗“内卷现象”,是趋势所向?
http*://bit.ly/2R84eKH