香港版国家安全法の施行後香港からの脱出者の流入が続く中、カナダに住む香港人は、香港からの新移民のための包括的な社会的セーフティーネットを構築することを目的に、雇用、居住施設、精神的なサポートを提供する援助団体を組織しています。
ドイツ国営の国際メディア徳国之声の記事より。
香港版国家安全法が施行されて6月30日で1年が経ち、 香港移民局の統計によると、昨年6月から今年6月までの間に、香港空港を経由して10万9千人もの香港人が国外に脱出しました。
香港人の移住先として常に上位に位置するカナダでも、香港からの移民が増え続ける中、現地住民が支援団体を組織して、仕事の機会や宿泊施設の手配、法律相談、心理的なケアなどを行うケースが増えています。
カナダ・トロントで料理教室を経営している何氏は、香港の民主主義派の元政治家や、2019年の香港反送中デモに参加した香港人を、キッチンアシスタントとして採用したといいます。
何氏は、「これは"戦い"です。 そして、この人たちは私の戦友であり、価値観を共有しています。私たちが手を貸さなければ、誰が貸すのでしょうか？」と述べています。
カナダには数多くの支援団体があり、中には1989年の天安門事件や1997年の香港返還の時にはすでに存在し、現在も続いている団体もあり、彼らは新しい移民に様々な支援サービスを提供しています。
新型コロナ流行が移民手続きを面倒にしている中で、これらの地元の協力組織が、香港からの新たな移民がスムーズに入国するための鍵となっています。
この半年の間に、カナダは香港人が永住権を取得するための手段を増やすべく、いくつかの友好的な政策を打ち出しました。
今年の2月8日にカナダで初めて導入されたライフボートプログラムは、過去5年以内に香港での高等教育機関での学習を修了または学位を取得した香港人、または同等の外国の証明書を所持している香港人に、カナダの労働許可証を申請する機会を提供するもので、かなりの人気を博しています。
6月には、永住権申請のための2つの新しいルートを追加して、この措置をさらに緩和しました。
1つ目の移民ルートは、過去3年以内にカナダの公認大学または中等教育機関で学位、ディプロマ、または大学院修了証を取得し、コースに在籍していた期間の半分以上をカナダで過ごしていること。
2つ目の移民ルートは、過去3年以内にカナダで1年以上フルタイムで働いたことがあるか、または1,560時間以上のパートタイム勤務経験があること。
この2つの新しい施策により、カナダは香港人にとって最も移住しやすい国の1つとなりました。
支援団体の一つであるトロント香港家長会の共同設立者であるエリック・リー氏によると、協会は20社の雇用主に香港の新移民に仕事を提供するよう働きかけており、また通訳、弁護士、心理学者などの専門家にも連絡を取り、新移民の面倒を見てもらっているとのことです。
エリック・リー氏は、時には新移民をスーパーマーケットまで車で連れて行って買い物をさせることもあり、 また、宿泊施設としては、香港から来たばかりの人たちのために、無料の仮設住宅を10軒用意しています。
カナダが香港からの移民を大量に受け入れたのは今回が初めてではありません。 古くは1989年の天安門事件、1997年の香港返還など、香港からの移民の波がありました。
香港城市大学の社会科学副学部長である張楚勇氏によると、1990年代には香港の将来がどうなるかわからないため、移住は主に富裕層のエリートが行っていたと述べています。
1989年から1996年の間に50万人以上が香港を離れましたが、そのうち約12万人は他国で永住権を取得してから、また香港に戻ってきているとのことです。
張楚勇氏は、今回は過去の移民の波とは違うと断言しています。「 かつては富裕層のみが移住を検討していましたが、欧米諸国が香港人に対して新たに自由な移民政策を打ち出してからは、これまで移住を考えたことがなかった多くの香港人が母国を離れる準備をしています。」
「過去に出て行った香港人は主に将来への不安を感じていたが、今回は希望を失っている。今、人々が出て行っているのは、香港版国家安全法が香港の自由と次の世代に大きな影響を与えると確信しているからだ」
国家安全法によって、香港から逃げ出す香港人が増えそうなのですが、中国政府はこの動きに歯止めをかけるため、出入国管理法を改正し、保安局長官が出入国管理局長に、特定の人物を出国用の移動手段(航空機、船舶、鉄道など)に乗せないように指示する権限を与えています。この改正では、裁判所の採決を必要とせず、出入国管理局長が特定の人物の出国を止めることができます。
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参考記事
<徳国之声>助出逃港人 加拿大香港社群提供就业住宿
http*://bit.ly/3xqttb6
