ニューヨークに拠点を置く人権団体のヒューマン·ライツ·ウォッチは、中国チベット自治区の当局が 「4人の僧侶をでっち上げの罪で起訴し、最高20年の懲役刑を科した 」とする報告書を発表しました。
人権団体ヒューマン·ライツ·ウォッチ(以下HRW)の報告書によると、中国チベット自治区のチベット人僧侶が、海外のチベット人と連絡を取り、ネパールの地震のための資金を寄付したとして、最高20年の懲役刑を言い渡されました。
HRWの報告書によると、チベット自治区のテンドロ僧院の4人の僧侶が、中国の法律に全く違反していないのにも関わらず、中国国外の災害救助活動にメッセージを送ったり、寄付をしたりしたとして、それぞれ5~20年の懲役刑を言い渡されました。
ーーーHRWの報告書ーーー
テンドロ僧院の46歳の僧侶チョーギャル·ワンポは、2019年8月から9月にかけて、チベット自治区の首都ラサを訪れていたときに、立ち寄ったカフェで携帯電話を置き忘れてしまいました。
カフェの店主がその携帯電話を公安(警察)に届けたところ、ワンポ僧侶がネパール在住のチベット人仲間と連絡を取り合っていたことがわかりました。
携帯電話の通話記録やSNSの記録から、ワンポ僧侶が2015年4月のネパール大地震の時に、現地のチベット人や僧院·コミュニティの再建のために寄付をしたことがわかりました。
その後、武装警察と治安部隊は、チベット北部にあるテンドロ僧院を襲撃して多数の僧侶や村人20名を拘束しました。拘束理由は「国外のチベット人と接触した」「ネパール地震の救援活動を行った」「ダライ·ラマに関する写真や文書を所持していた」などでした。
HRWの報告書によると、テンドロ僧院では武装警察がすべての僧侶を尋問し、毎日のように政治的な洗脳を行いました。3日後に僧侶の一人であるロブサン·ソパが当局への抗議のために自殺し、その直後に直後にインターネットが遮断されました。
2020年9月にチベット自治区シガツェ市の中級人民法院が、4人の僧侶に対して判決を下し、事故発覚のきっかけとなった携帯電話の紛失についてチョーギャル·ワンポに懲役20年、テンドロ僧院の副院長ロブサン·ジンパ(43)に19年、警察に重傷を負わせた法師ノルブ·ドンドルプ(64)に17年、ナワン·イエシ(36)に5年という重い判決を下しました。
HRWの中国部門のディレクターであるソフィー·リチャードソン氏は、「テンドロ僧院の僧侶に対する前例のない判決は、まるで2000年の米国映画『パーフェクト·ストーム』のようだ」と非難しています。
『パーフェクト·ストーム』は複数の災厄が同時に発生して、破滅的な最期を迎えた漁船の物語で、今のチベットに起きていることだとリチャードソン氏は非難しているのです。
テンドロ僧院の4人の僧侶に重い実刑判決が下された後の2020年10月にHRWは、2人のチベット人がインドの親戚に送金したために投獄され、そのうちの1人が獄中で負傷死したことを明らかにしました。
中国国外のチベット語メディアによると、チベット自治区政府とチベット全域の地方政府が総会を開き、 住民に海外の親族と連絡を取らないように警告したそうです。
HRWは、チベットのテンドロ僧院の僧侶たちのケースは、チベット地域がオンラインでのコミュニケーションの規制を強化し始めていることを示しており、恣意的で極端なやり方だと非難しています。
HRWは、中国当局に対し、本件で投獄された僧侶を直ちに釈放するよう要求するとともに、関係国および国連に対し、中国当局がチベット人の人権を尊重するよう、恒久的な人権監視メカニズムを設置することを求めました。
今回のチベットの件に限らず、ウイグル、南モンゴル、香港など中国の人権問題では、欧米諸国は公式機関、民間機関、メディアが独自に調査して人権侵害の証拠を示しています。
日本政府もマスコミさんも、頑張ってください。
公明党の山口代表は「証拠は無い」と言い続けるんでしょうね。
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参考記事
<自由亜州電台>四藏僧向海外发微信、捐款 最重判二十年 人权观察:西藏人权空前风暴
http*://bit.ly/3e48LG3
<rfi>丢手机惹祸:西藏僧侣遭判重刑
http*://bit.ly/2VtjC68
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