環球時報の胡錫進編集長が、カナダのジャスティン・トルドー首相を侮辱する漫画をSNSで公開しました。 外交専門家からは、このような外交戦術は幼稚で子供じみた戦争屋のスタイルであり、何の役にも立たないと指摘されています。
米国に拠点を置く国際メディアの自由亜州電台の記事より。
カナダ政府が、中国政府による新疆ウイグル自治区の少数民族迫害を批判していることへの報復として、中国政府は、カナダの原住民居住区学校の跡地から、251人の子供の遺骨や、751基の無記名の墓が発見されたことを攻撃しています。
中国共産党の機関紙「人民日報」傘下の環球時報の名物編集長である胡錫進は、鷲が旋回している墓地でトルドーが頭蓋骨の山の上に座り、「我々は君たちの土地を盗み、君たちを殺し、君たちの子供を埋葬した、和解しよう」と言っている姿を描いた漫画をツイートしました。
胡錫進はその中で、「この人は誰? 彼は原住民が自分の顔に唾を吐くことを心配しているのではないか?」とツイートしています。
ブラジル・リオデジャネイロの中国総領事である李楊氏は、ツイッターで同じ漫画を投稿し、「あなたのいわゆる和解は誇示する価値があると思いますか?!!!」とツイートしています。
このような中国人からの侮辱的なツイートに対して、有識者から反論がでています。
カナダ歴史保存協会の列国遠会長は、「カナダは6年間かけて全国の6500人の証人にインタビューし、原住民寄宿学校制度の悲劇的な歴史と被害について非常に綿密な調査を行い、国民に教育を施しました。 しかし、中国政府はどうでしょうか? 彼らは今でも新疆ウイグル自治区のウイグル人を大規模に迫害しているのに、中国政府はそれを否定しています。」と指摘しています。
元駐中国カナダ大使のデビッド・マルロニー氏は、「歴史に責任を持とうとする政府と、反省もせず、他人に噛みつくことしかしない政府とをどうやって比較するのか。中国とカナダが同じ道徳的立場にあると人々が信じるとすれば、それは中国にとって大きな勝利と言えるだろう」と述べています。
カナダ・ヨーク大学の沈栄欽准教授は、中国は中国の問題を無視して、このような戦術でカナダを内部的に混乱させようとしていると指摘しています。
沈栄欽准教授は、「中国がカナダを分断するための方法であり、ある意味では現政権に不満を持っているカナダ国内の人々を煽っていると言えます。その真の目的は、焦点をずらして、中国が新疆で行った残虐行為を人々に無視させることにあります。」と述べています。
中国外交部の趙立堅報道官が、オーストラリアの兵士がアフガニスタンの子供の喉をナイフで切り裂いている写真をTwitterに投稿したり、日本が核廃棄物の水を海に流していることを批判する風刺イラストを投稿するなど、中国の外交官がツイッターで「戦狼外交」を展開することが流行っています。
沈栄欽准教授は、このような戦狼スタイルは非常に幼稚であり、自国を貶めるだけだと指摘しています。
カナダにとって、中国は輸出入ともにNAFTA,EUに次ぐ3番目の貿易相手国ですが、全体の5%程度を占めているに過ぎないので、中国がオーストラリアに対してしているような、輸入禁止や高額の関税付加という、効果的な制裁を加えることはできません。
逆に中国は食料不足に陥っているとの噂もあり、カナダ産の穀物や肉を必要としているため、そのうちに泣き言を言ってくるのでは無いかとの指摘もあります。
カナダが中国に対して強気に出られるのは、経済的に中国に頼っていないことが重大ポイントになっています。
『中国がカナダを分断するために、現政権に不満を持っているカナダ国内の人々を煽っている』という沈栄欽准教授の指摘には、我々も注意を払わなくてはいけません。
最近は日本でも中国政府の下心に気づいた人も増え、中国とデカップリングする動きも出てきましたが、まだ身も心も中国に委ねている日本人も多く、中国の分断工作は効果的だと思われます。
日本の野党もマスコミも、現政権の不手際や失策はいつまでも、徹底的に叩くのに、自分たちの不祥事には甘い対応で、シレっと知らん顔するのも、誰かの指示かどこかに忖度している結果かもしれません。
最後に、胡錫進のツイートのリプライに添付されていた漫画をご紹介します。こっちの方がしっくりきますね。
[あわせて読みたい記事]
参考記事
<自由亜州電台>中国官媒发漫画污辱加拿大 专家:幼稚无用
http*://bit.ly/3hvJ0Rm
<世界新聞網>环时总编贴漫画骂杜鲁多? 美媒:幼稚无用
http*://bit.ly/36ppEad
<BBC NEWS Japan>無名の墓751基、カナダ寄宿学校跡で発見 先住民団体が発表
http*://bbc.in/3xxdJ5P
|