7月の中国の中国国家統計局製造業PMIと財新製造業PMIはともに低下し、財新製造業PMIは昨年4月以来の低水準となりました。エコノミストの分析によると、7月の中国の製造業PMIは市場の予想を下回り、需給が軒並み低下し、中国経済の下押し圧力が高まっていることを示しています。
米国に拠点を置く中国語メディアの希望之声の記事より。
8月2日に中国の独立系メディア「財新」と調査会社Markitは、7月の中国の製造業購買担当者指数(PMI)が50.3に低下し、6月から1ポイントの大幅な低下で15ヵ月ぶりの低水準となったことを発表しました。
7月31日には、中国国家統計局が7月のPMIは50.4と、前月の50.9から低下し、2020年2月以来の低水準となったと発表していました。
PMI指数が50を超えると、製造業活動が拡大していることを示し、50を下回ると縮小していることを示します。
また、7月の新規事業総額は再び減少し、14ヵ月ぶりの減収となりました。
各社とも、工場出荷時の製品価格が上昇したものの、顧客の需要が減退したことに加え、新型コロナが蔓延していることもあり、海外での販売、輸出の新規受注が微増にとどまりました。
新規受注指数は前月比2.4低下の49.2となり、14ヵ月ぶりに50を下回る縮小領域に入りました。 生産指数は3ヵ月連続で鈍化し、16ヵ月ぶりの低水準となりました。
新規輸出受注指数は47.7と、5月から3カ月連続で低下し、昨年7月以来の低水準となっています。
原材料価格を示す指標は62.9と、前月の61.2から上昇し、原材料コストの上昇で企業の採算が悪化しており、一部の輸出業者は受注を見送っています。
建設指数は57.5と、前月の60.1から低下し、極端な悪天候が影響したと見られています。政府による不動産市場の取り締まりが、建設業界の逆風になると指摘するアナリストもいます。
東呉証券のチーフエコノミストの任沢平氏は、7月のPMIは経済活動指標の低下を全面的に反映しており、製造業の好況度は50.4%、非製造業の好況度は53.3%に後退し、製造業のPMIは4ヵ月連続で低下したと述べています。
任沢平氏は、需要と供給がともに減少したこと、新規輸出受注が3ヵ月連続で臨界値を下回ったこと、建設業の新規受注が後退したこと、不動産業の事業活動が臨界値を下回ったこと、大企業·中堅企業と中小企業の格差が引き続き拡大したこと、中小企業が景気の縮小を続けていること、雇用マインドが悪いこと、原材料供給価格と完成品工場価格が反発したこと、スタグフレーションの特徴が明らかになったことなどを挙げています。
任沢平氏の分析によると、中国経済は現在、スタグフレーションの後期とリセッションの初期段階にあり、四半期ごとに経済が減速しています。
2021年下半期~2022年、中国経済の下降圧力はさらに高まり、不動産と輸出が主な足かせとなって、消費と製造業の投資は低迷します。
商品価格は高止まりしており、原材料コストや物流コストの上昇は中流·下流の製造業を圧迫し、中小企業の苦境に拍車をかけています。
中国経済は、景気の悪化と高水準のインフレが共存する、「スタグフレーション」の特徴が明らかになっています。
中国経済は新型コロナ流行に伴う混乱から、おおむね回復していますが、南京市では、感染力の強いデルタ株の感染が拡大しており、政府の厳格な対策が、現在の景気回復の下振れリスクになる可能性があります。
世界で唯一経済回復したと思われていた中国経済ですが、先行きには暗雲が垂れ込め始めているようです。
金儲けだけを目当てに中国に擦り寄る経営者や自営業者が、日本にもたくさんいますが、中国経済がいつまで余力を持っていられるか、しっかり見極めないと、大変なことになります。
中国株を持ってる方々は要注意ですね。
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参考記事
<希望之声>中国7月官方、财新PMI双降 任泽平:经济下行压力加大
http*://bit.ly/3Cbb98x