ソフトバンクグループの孫正義CEOは、中国市場への投資の割合を再考すると述べました。ビジョンファンドに占める中国企業の割合は、ピーク時の23%から11%に低下しています。中国共産党当局は最近、大手テック企業への規制を頻繁に行なっています
米国に拠点を置く他言語メディアの大紀元と中国の独立系経済メディアの財新の記事より。
財新の報道によると、孫正義CEOは、8月11日に開催されたソフトバンクグループの4~6月期決算説明会で、中国市場についての見通しを述べました。
「中国市場の将来性については強気の姿勢を崩していないが、中国(中国共産党)政府による統制が強化されていることを背景に、どの地域がリスクが少ないかをさらに観察し、その後に投資を再検討する必要があり、このプロセスには半年あるいは1年以上かかると予想される」
孫正義氏は、地域別の投資に分散することでリスクを分散していると述べており、規制が進んだ7月末時点で、ソフトバンクのビジョン・ファンドに占める中国企業の割合は23%でしたが、4月以降に新しく投資した分に限ってみると、その比率は11%にまで下がります。
4月10日に、アリババが独占禁止法違反により、市場規制総局から182億元の罰金を科され、中国における独占禁止法に基づく行政処分の新記録を樹立しました。
アリババ株は、ソフトバンクグループが保有する最も価値のある資産です。 今年6月の時点で、アリババ株は、ソフトバンクの保有する純資産の39%を占めています。
しかしアリババ株は、昨年11月に中国共産党の規制当局がアリババの金融子会社であるアント・グループの新規株式公開(IPO)を中止して以来、40%以上下落しています。
孫正義氏は、中国共産党当局による中国のテクノロジー企業に対する規制措置の実施を待つ間、ソフトバンクグループは中国への投資を停止すると述べています。
中国のハイテク株について、孫正義氏は「受難のときである」と受け止めつつ、「長い目で見ればどこかでバランスを取り直す。企業の業績は伸び続けており、どこかで株価は持ち直してくる」との見方を示しました。
最近の中国共産党当局によるインターネットテクノロジー企業への取り締まりにより、ソフトバンクは中国大陸での投資で大きな損失を被っています。
7月4日に中国国家インターネット情報弁公室は、「滴滴出行」アプリを、アプリストアから削除するように命令を出しました。
中国のタクシー配車ソフト「滴滴出行アプリ」が法令に違反して個人情報を収集・利用している疑いがあるとしています。
これにより6月29日に米国市場に新規上場(IPO)したばかりの、滴滴出行科技有限公司の株価は、上場直後の18.0ドルから、7月26日には7.2ドルの最安値を記録し、半分以下に下落しました。
ソフトバンクのビジョンファンドは、2019年に118億米ドル(約1兆3千億円)を投じて滴滴出行科技有限公司の20.1%の株式を購入し、筆頭株主となっています。
その株式は、中国当局の規制圧力によって滴滴の時価総額が下落したことで、48億米ドル(5300億円)の含み損を抱えています。
ソフトバンクの株価は、3月のピーク時の10695円から約36%下落し、昨年の69%の上昇分を一部相殺し、8月13日の終値は6647円でした。
ソフトバンクの株価も、中国株式市場や香港株式市場の株価も、しばらくは低迷しそうです。
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参考記事
http*://bit.ly/3xN6572
<财新网>T早报|孙正义称已将中国投资比重砍半
http*://bit.ly/3fWbZwi
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