黄大仙の blog

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タリバンは中国に支持を求めているが、中国はアフガン新政府を承認するかどうかの回答を避けている。

タリバンのスポークスマンは、米軍のアフガニスタン撤退終了後の外交的・経済的支援を中国に訴え、中国を「偉大な隣人」と称賛しています。しかし、中国外交部は、アフガニスタンの新政府を承認するかどうかについては言及を避けています。

 

  米国政府系短波ラジオ放送メディアの自由亜州電台の記事より。

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タリバンアフガニスタンを制圧

  タリバンが首都カブールを陥落し、実質的に政権を奪回した直後の818日に、中国外交部の趙立堅報道官は、「 タリバンの対応を見極めいる。承認するかどうかはその後のことだ」と、アフガン新体制承認に慎重な姿勢を示していました。

 

  有識者によると、中国はアフガニスタン問題でジレンマに陥っており、危険な隣国との関係を維持しなければならず、『後門の虎』を養うかどうか不安になっているといいます。

 

 

  『昨夜カブールで、米国は20年に及ぶアフガニスタンでの戦争に終止符を打った .....』米国東部時間831日午後に、バイデン大統領は米国が20年に及ぶアフガニスタンでの戦争を正式に終結させたことを発表しました。

 

  演説の中でバイデン大統領は、アフガニスタンでの戦争を終結させることは、就任してから7ヶ月の間に下した最も困難な決断のひとつであると述べ、今後もアメリカ国民の安全を守り、テロリストに償いをさせることを誓いました。

 

  バイデン大統領は、アフガニスタン撤退は正しく賢明な決断であるとし、「 世界は変化しており、我々は中国との激しい競争の中にいる」と強調しました。

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バイデン大統領は、アフガニスタン撤退は正しく賢明な決断であると説明

 

  タリバンのスハイル・シャヒーン報道官は、米軍がアフガニスタンからの撤退を終了したその日に、中国に支援を訴えました。

 

  シャヒーン報道官は、タリバンは中国と協力してアフガニスタンの平和を構築したいと考えており、アフガニスタンが「テロリストの集結地」になるのを防ぐという約束を果たす、と述べています。

 

  「我々は、両国の関係を促進し、地域の平和を構築し、アフガニスタンの再建を支援する方法について、中国側と意見交換する用意がある。」

 

  シャヒーン報道官はさらに、「偉大な隣人である中国は、アフガニスタンの復興とアフガニスタン人の経済発展と繁栄において、建設的で積極的な役割を果たすことができる 」と述べ、中国への期待を隠しませんでした。

 

 

 

  タリバンが中国に外交的・経済的支援を求めているにもかかわらず、中国外交部の汪文斌報道官は831日の定例記者会見で、中国がタリバン政権を承認するかどうかの質問に答えませんでした。

 

  汪文斌報道官は、「アフガニスタンが、穏健で安定した内政・外交政策を追求し、あらゆる種類のテロ勢力と断固として戦い、すべての国と友好的に共存することを望んでいる。」と述べています。

 

 

  米国在住の独立系中国学者の劉仲敬氏は、中国は今、ジレンマに陥っていると指摘しています。

 

  劉仲敬氏は、「ロシア、タジキスタンウズベキスタントルクメニスタンタリバンに対抗する『北部同盟』を明確に支持しているため、中国は安易に立場を表明できない。」と指摘しています。

 

  「中国がタリバンを支援すると、中央アジア5カ国を怒らせ、上海協力機構を脅かすことになります。しかしロシアに倣って『北部同盟』を支持した場合には、タリバンをコントロールできず、パキスタンアフガニスタンの国境、中国・パキスタン経済回廊の状況が悪化し、前進も後退も困難になります。」

 

 

  中国は、ジレンマに陥っていても、アフガニスタン情勢について、国際舞台で発言したいと考えています。

 

  830日、国連安全保障理事会は、アフガニスタンに関する決議案を賛成13、反対0、棄権2で採択しました。

 

  英米仏が共同で提案した決議案は、タリバンに対して、アフガニスタンからの退去を希望する人々に安全な通路を提供すること、人道支援者の入国を許可すること、女性と子どもの人権を守ることを求めています。

 

  棄権した2カ国とは中国とロシアでした。

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国連安全保障理事会は、アフガニスタンに関する決議案を賛成13、反対0、棄権2で採択

  汪文斌報道官は棄権した理由を、「中国は決議採択の必要性と緊急性に大きな疑問を持っており、我々(中国とロシア)の修正案が十分に受け入れられていない」と説明しています。

 

  汪文斌報道官は、「中国は、すべての国は、国際法安保理決議に基づく義務を果たし、イスラム国、アルカイダなどの国際テロ勢力に対抗するために断固として協力すべきである」と主張しました。

 

  「米軍のアフガニスタン撤退は、他国への無謀な軍事介入や自国の価値観や社会システムを他国に押し付ける政策が、失敗に終わるだけであることを示している」、中国はこのように主張しています。

 

  「実は、米国のアフガニスタン撤退は、中国にとっては大きな痛手である。」

 

  こう指摘するのは、前述の米国在住の独立系中国学者の劉仲敬氏です。

 

  劉仲敬氏は、「 中国はタリバンをコントロールしているわけではなく、タリバンの勢力が拡大しているのを見て、事前に連絡を取っていただけなのです。」と指摘します。

 

  「中国はタリバンが、イスラム国やアルカイダのような脅威になることを、とても警戒しています」

 

  アフガニスタンと国境を接する中国新疆ウイグル自治区には、『東トルキスタンウイグル運動』という独立を目指す組織があり、同じイスラムスンニ派タリバンと『ウイグル運動』とが結びつくことを、中国共産党は警戒しています。

 

  タリバンのご機嫌を損ねないように支援しなくてはいけませんが、中国がタリバンを支援すると、中央アジア諸国がご機嫌を損ね、上海協力機構を脅かすことになります。

 

  中国共産党がこの難局をどのように乗り切るのか、高みの見物といきましょう。

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中国から独立したがっている地域

 

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参考記事

<自由亜州電台>塔利班寻求支持 中国避答是否承认阿新政府

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