中国の王毅外相は、9月10日から15日にかけて、東南アジアと韓国を歴訪します。7、8月に米国政府高官が相次いで、東南アジア地域を訪問したことに対抗し、中国がこの地域の支持を得るための努力です。ベトナムへはワクチン300万回分を追加で送ることを明らかにしました。
米国に拠点を置く、世界中の華人向けメディアの世界新聞網も記事より。
中国外交部によると、王毅外交部長は、9月10日から15日までベトナム、カンボジア、シンガポール、韓国の4カ国を訪問します。
中国外交部の汪文斌報道官は、これらの国々は中国のすぐ隣の国であり、重要なパートナーであると述べています。
王毅外交部長は、ベトナムのファム·ビン·ミン副首相とブイ·タイン·ソン外相、カンボジアのプラック·ソコン副首相、シンガポールのビビアン·バラクリシュナン外相、韓国の鄭義溶外相と会談する予定です。
10日午後にベトナム入りした王毅外交部長は、夕方、ベトナム共産党の政治局員のファム·ビン·ミン副首相と第13回ベトナム·中国二国間協力運営委員会の共同議長を務めました。
ベトナムメディアによると、王毅外交部長は、中国は今年さらに300万回分の新型コロナワクチンをベトナムに送ることを発表し、中国政府からベトナムへのワクチン援助の総数は570万回分になると伝えています。
8月下旬に米国のカマラ·ハリス副大統領がベトナムを訪問した際に、ファイザー社製のワクチン100万本を寄贈し、米国からベトナムへのワクチン支援が合計600万本に達しており、米国と中国のベトナムへのワクチン援助の総数はほぼ同じになりました。
ベトナムでも米中のワクチン外交は火花を散らしています。
東南アジアは、米国が以前から関係を構築している地域で、今年7月にはオースティン米国防長官が、米国政府の閣僚として初めて東南アジアを訪問し、8月には、ハリス副大統領がシンガポールとベトナムを訪問し、米国との関係強化を目的とした視察を行ったばかりです。
米国は、東南アジアの国々の政府にとって、経済や安全保障の面で重要なパートナーであり、タイやフィリピンとは同盟条約を結んでおり、シンガポールやベトナムとも緊密な軍事協力関係にあります。
これに対して中国は南シナ海の違法占有によって、東南アジア諸国とは対立しており、ワクチン外交や一帯一路による経済支援をエサに、東南アジア諸国との良好な関係を築こうとしています。
米国はアフガニスタンから軍を撤収し、アジア太平洋地区へ振り向ける軍事的余裕ができたのに対し、中央アジアの安定維持を押しつけられた中国は、東南アジアや韓国との友好関係構築の手も緩めていないことをアピールするためにも、王毅外交部長の歴訪は必要だったのでしょう。
東南アジア地域をめぐる米国と中国との覇権争いは、21世紀のThe Great Gameの様相を示してきました。まるでオセロのようです。
19~20世紀のThe Great Gameは、大英帝国とロシア帝国の中央アジアをめぐる覇権争いで、疲弊した両帝国はその後没落しましたが、21世紀のThe Great Gameの結果はどうなるのでしょう?
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参考記事
http*://bit.ly/3z383kj
<徳国之声>美中官员相继出访 东南亚或成中美角力场
http*://bit.ly/3A6Cjfa
<BBC中文>王毅出訪東南亞與韓國 如何抗衡美國重返亞太戰略成看點
http*://bbc.in/3jXjGVr