オーストラリアは、米国の原子力潜水艦を購入するために、フランスとの巨大な契約を破棄しました。ル·ドリアン仏外相は米国、オーストラリア、英国を「裏切り者」と非難しました。 しかし、米国、オーストラリア、英国には、友人を失うリスクを冒してでもそうしなければならない緊急かつ切実な理由がありました。中国を意識しての行動です。
フランス国営ラジオ放送局のrfiの記事より。
オーストラリアは、過去には原潜を欲しがらなかったのに、なぜここまでしたのでしょうか。
3年前に就任した頃のモリソン豪首相は、中国と米国はオーストラリアにとって等しく重要であると考えていました。
中国はオーストラリアにとって最大の貿易相手国であり、オーストラリアは「緊密な関係」を維持したいと考えていました。
米国はオーストラリアの安全保障上の主要な同盟国であり、「オーストラリアは選択の余地はない」と率直に述べていました。
モリソン首相は、「3年後の今、オーストラリアはフランスとの通常型潜水艦建造の契約を破棄し、米国の原子力潜水艦を選択し『確固たる同盟 』に参加している」と述べました。
さらに、モリソン首相は 「 これらはすべて、中国が執拗にオーストラリアを追い詰めた結果なのだ。」と述べています。
中国政府は、オーストラリアが新型コロナウイルスの発生源について、国際的な独立調査を提案したことに激怒し、石炭、ワイン、牛肉などの輸入を制限し、幅広い商品に懲罰的な関税をかけています。
中国政府がそうすることで得られる利益はあまりありませんが、中国政府は全く手を緩めず、オーストラリアはますます脅威に感じています。
米英豪の3国同盟AUKUSは非常に「戦闘的」であり、オーストラリアが米国の原子力潜水艦を購入したことは、最も具体的で、中国にダメージの大きい施策です。
オーストラリアがフランスとの契約を破棄することは不名誉なことですが、オーストラリアの選択は戦略的な意味を持っています。
第一に、フランスと契約していた通常型潜水艦は、数週間しか潜れず発見されやすいのに対して、原子力潜水艦は数ヶ月間潜ることができ、 南シナ海の大量の中国軍船に対抗するのには最適と思われています。
第二に、現在の中国海軍の軍艦数は333隻と、米海軍の296隻をしのぎ世界一で、その中には十数隻の原子力潜水艦も含まれています。
しかし専門家の分析では、中国の対潜水艦戦の能力は非常に弱いとされており、 オーストラリアが、南シナ海の重要な航路のパトロールに原子力潜水艦を使用することで、中国海軍を威嚇することができます。
第三に、米国はオーストラリアに機密の原潜技術を売却することで、中国政府に対して非常に強い同盟関係を構築する狙いがあります。
近い将来南シナ海は、非常に危険な地域となり、多くの沈黙の原子力潜水艦が長期間にわたり、深海に潜んでいることになります。
そうすることで、中国艦隊のいかなる行動も露見することになり、南シナ海や台湾海峡での中国の拡張主義にとって大きな脅威となります。
米国からオーストラリアに最初の原子力潜水艦が、引き渡されるのは2040年ごろになる見込みのため、中国メディアは安堵しています。
しかし、米国の原子力潜水艦の売却は、「米豪運命共同体」の形成を意味し、オーストラリアは今後、南シナ海や台湾海峡で活躍する可能性が高いことを意味し、中国への大きな脅威となります。
オーストラリアの潜水艦建造は、当初フランスと日本が受注を争い、日本が脱落してフランスに決まりました。ところが、フランスが裏切られて米国に持っていかれました。
日本も原子力潜水艦の建造能力を持っておいた方が、いいかもしれませんね。
日本の領海及び排他的経済水域の面積は447万km2で、陸地面積39万km2の10倍以上あり、世界第6位の広さです。
中国が軍事力の増強を続ける限り、日本も相応の軍事力がないと、中国が『1発殴ってみようかな』と思いかねません。
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参考記事
<rfi>南中国海 中国有了死对头?
http*://bit.ly/3nWqAfW