昨年来中国とオーストラリアとの間には緊張関係があり、中国はオーストラリア産石炭の輸入を全面的に停止していました。しかし最近、中国は1年ぶりにオーストラリアからの輸入石炭を通関しました。 これは、中国が国内の石炭供給量の不足を補う意図があるとみられています。
米国ニューヨークに拠点を置き、中華人民共和国の政治ニュースを専門的に扱う多維新聞の記事より。
中国の税関データによると、中国は10月にオーストラリア産の石炭を279万トン輸入しました。
中国とオーストラリアとの関係が悪化した昨年末以降、中国税関はオーストラリアの石炭輸入量を公表していません。中国の港には通関手続きされずに取り残されている石炭が大量にあるとされています。
税関のデータによると最後に通関したオーストラリア産石炭は昨年11月です。
米国のアナリストであるウッドマッケンジー社の推定によると、約500万トンのオーストラリア産コークスと約300万トンの電力用石炭が中国の港に通関されないまま放置されています。
今年10月初旬には、中国がオーストラリア産石炭を少量荷揚げしたとの噂が流れましたが、これは中国の電力不足がすでにかなり深刻であることを示しています。
結局10月にはオーストラリア産石炭を279万トンを荷揚げしており、 中国が国内の石炭供給不足を補うためにオーストラリア産石炭をほぼ1年ぶりに通関したことになります。
中国は脱炭素の旗を振り、世界最大の再生可能エネルギー導入量を記録するようになりましたが、それでもなお、中国の電力供給の中心は、電源構成の6割を超える石炭火力です。
中国は国内に多くの炭鉱を持ち、石炭を自前で調達できるために使われているのですが、電力需要に見合う分だけの石炭が採れているのかと言うと、必ずしもそうではありません。
需要自体が右肩上がりに増えているのに、石炭の採掘量が間に合っていません。
石炭鉱山の開発を相当積極的に行って来ていましたが、温室効果ガス排出ゼロの掛け声の元、石炭鉱山の開発に厳しい国際的な目が向けられるようになり、開発がスピードダウンしました。
中国は国内の石炭需給が逼迫しているのに、オーストラリアが昨年5月に新型コロナウイルスの起源をめぐる独立調査を提案し、世界保健総会(WHA)で可決されると、牛肉の輸入禁止を決定したのを皮切りに、昨年12月にはオーストラリア産石炭を輸入禁止にしました。
今年に入って中国内では、石炭不足による電力不足により、頻繁に停電が発生し、地域によっては工場が週2~3日しか稼働できないところもありました。
このような理由から中国はオーストラリア産石炭の通関に踏み切ったようです。
行き過ぎた『温室効果ガス排出ゼロ運動』は、国民を苦しめるだけということを、中国は身をもって示してくれたようです。
参考記事
<多維新聞>多地供电紧张 中国近一年来首次为澳大利亚煤炭清关
http*://bit.ly/3cHYxdv
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