黄大仙の blog

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中国政府の圧力 滴滴出行(DIDI)が米国市場上場廃止を発表

中国のオンライン配車アプリ大手の滴滴(DIDI)は、123日香港での上場に向けた準備を進める一方で、ニューヨーク証券取引所からの即時上場廃止の手続きを開始すると発表しました。DIDIは、「慎重に検討した結果、今回の決定に至った」と述べていますが、米国市場上場廃止についての説明はありませんでした。

 

  米国国営の国際メディア美國之音の記事より。

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米国市場上場廃止を発表した滴滴(DIDI)

  中国の国家インターネット情報局は、機密データが流出する恐れがあるとして、DIDIニューヨーク証券取引所からの上場廃止計画を作成し、政府の承認を求めるように要請したとのことです。

 

  DIDIは明確には語っていませんが、この動きの背後には抗しがたい後押しがあること、そしてその抗しがたい後押しとは中国政府であることを、その行動によって事実上示しています。

 

  この1年間で、アリババ、テンセント、美団、新東方教育科技など、中国の主要な民間企業が、中国の規制当局による調査や処罰を受けています。

 

  その理由として中国政府は、独占禁止、個人情報やデータのセキュリティ保護、家庭や学生の負担軽減などが挙げています。

 

  しかし、特定の民間企業の規模や資本力の大きさ、機密データの漏洩の恐れなどに、中国政府が疑念を抱くようになったためだと分析する人もいます。

 

  さらに、これらの大規模な民間企業を統制することで、中国の習近平国家主席が目指す、いわゆる「共同富裕」に適合させ、支援することも可能になると指摘されています。

 

  中国最大級のオンラインタクシー配車会社であるDIDIは、629日にニューヨーク証券取引所に上場して以来、その株価は非常に波乱万丈な人生を送ってきました。

 

  上場初日に公募価格の14ドルを上回る18.1ドルまで上昇し、翌日には16%の上昇を記録しましたが、その後は低迷し低水準で推移しています。

 

  投資家たちはDIDIに対して強気の姿勢を見せていましたが、中国政府の継続的な規制の圧力は、投資家の鼻をへし折ってしまったようです。

 

  DIDIニューヨーク証券取引所に上場した3日後の72日には、中国のサイバーセキュリティ審査局は、DIDIのサイバーセキュリティ審査を開始するという発表を突然に行いました。

 

  中国当局は、DIDIのサイバーセキュリティの見直しは、国家のデータセキュリティのリスクを防ぎ、国家の安全を守り、公共の利益を守るために開始されたと説明しています。

 

  また、中国ネットワークセキュリティ審査局は、セキュリティ審査期間中、DIDIに新規ユーザーの登録を停止させることを決定しました。

 

  米国市場に上場した日、DIDIの株価は急騰で始まり、一時は時価総額800億米ドルを超えたこともありました。

 

  しかし、中国の国家ネットワークセキュリティ審査局が同社に対するサイバーセキュリティ審査を発表した後、DIDIの株価は一気に下落し、上場から10日間で時価総額219億米ドル以上も蒸発してしまいました。

 

  74日には中国当局は、DIDIの親会社である北京小玩科技有限公司25のアプリすべてが法律に違反して個人情報を収集しているとの告発通知を出し、アプリショップに削除を命じました。

 

  上場から1週間後の76日、DIDIの株価は公募価格の14ドルを下回り、12.49ドルで終了しました。 その後、株価は下がり続け、長い間8ドル前後で推移しています。

 

  DIDIが米国市場上場廃止を発表する前日の2日、DIDIの株価は当初の14米ドルの公募価格から44.3%下落して7.80米ドルで引け、時価総額IPO後の最高額である800億米ドルから半分以下の3762100万米ドルに減少していました。

 

  中国当局は当初、米国政府が上場企業に監査を義務付けていることから、膨大な量の個人情報が米国の手に渡ることを懸念し、DIDIの米国市場への上場を延期するよう助言していました。

 

  しかしDIDIが当局の提案を無視して、予定通りニューヨーク証券取引所へ上場したため、中国政府の高い不満を呼び起こし、当局による厳しい取り締まりと処罰のきっかけとなりました。

 

 2012年に設立されたDIDIには、 ソフトバンク、アリババ、テンセント、ウーバーなどが資本を投入しています。

 

  DIDIが米国市場の上場廃止を発表したことを受けて、中国政府はこれを利用して、中国のインターネット業界全体に、より厳しい監視の対象となること、そして外国人投資家が中国のハイテク企業の株式にアクセスすることはしばらく認められないという警告を発していると指摘されています。

 

  DIDIDは米国市場上場廃止後は、香港市場に上場しますが、これは中国政府が暗に望んでいることです。

 

  しかし香港市場に上場しても、米国市場上場時の公募価格である14米ドルで公募するのは難しいと指摘されています。

 

  中国企業は受難の時期を迎えています。

 

参考記事

<美國之音>中国政府强压,滴滴出行宣布从纽交所退市

http*://bit.ly/31qDXwb


 


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