中国江蘇省徐州市豊県の鎖につながれた8人の子どもの母事件がネット上で爆発的に拡散した件につき、中国政府は2月17日に省レベルの調査チームを立ち上げました。同時に、当局は事件の沈静化のためにネット上の言論統制を強化し、多くの関連ネット記事が継続的に削除されています。
米国国営の短波ラジオメディアの自由亜州電台の記事より。
1月下旬に明るみに出た徐州市豊県の鎖につながれた8人の子どもの母の事件は、ネット上で論議が巻き起こりました。
多くのネット記事では、1989年に出版された『古代の罪-国民婦女売買の記』が、婦女売買に関わるものとして紹介されていましたが、この本は、当当網、京東モール、孔子古本店などの中国のネット書店ではもう手に入らなくなっています。
SNSの微博(ツイッターのようなもの)では、この事件に関する話題はほとんど見られなくなっています。
ネット上の統制が強まっていることに加え、調査報道をするジャーナリストも現場に出にくくなっています。
微博に投稿された動画によりますと、ジャーナリストが事件のあった徐州市豊県董集村に入ろうとしたところ、村の入り口はすべて警備されており、村に入るには村人の招待が必要だと言われたようです。
また、元メディア関係者の関軍氏が17日に微信(Lineのようなもの)に「徐州豊県事件を処理すべし」という記事を投稿していましたが、この記事も削除されました。
中国江蘇省徐州市豊県の鎖につながれた8人の子どもの母事件は、欧米のメディアでは連日大きく報じられていますが、中国国内メディアの扱いは小さく、しかもいろいろな情報が錯綜しているため実態の把握が十分にできていません。
今年1月下旬に徐州市豊県で「8人の子を持つパパ」と地元で有名な男性をメディアが取材したことから話が始まります。
メディアの掲載された写真の中に、8人の子の母親とする女性の写真がありましたが、首に鎖が繋がれていました。
女性は寒々しい小屋に薄着で鎖につながれており、歯はほとんど残っていない状態でした。
奴隷のような女性の境遇に、ネット上では非難が噴出しましたが、地元当局は「女性には精神疾患があり、子どもを殴ることがあった」と公表しましたが、奴隷のような拘束を正当化したとしてさらなる批判を招いていました。
その後、女性の顔立ちが四川省で行方不明になった女性に似ているという意見が出始め、女性が誘拐されて徐州に連れてこられたのではないかと疑われるようになりました。
この頃から中国では古代から現代に至るまで、婦女子を誘拐して嫁として子供を産ませたり、奴隷のように働かせる話が紹介されるようになりました。
しかし、この女性が誘拐されたとは確認されていませんし、ジャーナリストも取材が当局に阻害されている状況では、いつ全貌が明らかになるのかわかりません。
参考記事
<自由亜州電台>中国强化言论管控为徐州锁链女事件降温
http*://bit.ly/34SGHUR