新型コロナ感染が拡大している中国で、4月の工場活動が26カ月ぶりの低水準に落ち込み、世界第2位の経済大国が直面している悲観論に拍車をかけています。
米国政府が運営する国際メディア美國之音の記事より。
4月の製造業購買担当者指数(PMI)は3月の48.1から46.0に低下し、アナリストの予想47を下回ったことがわかりました。 PMIが50より大きいと景気拡大を、50より小さいと縮小を意味します。
4月の製造業PMIが2.1%ポイント縮小した主な要因は、中国のいくつかの地域で新型コロナ感染が拡大し、当局が上海などの都市に都市閉鎖などの厳しい規制を課し、企業活動やサプライチェーン、需要に影響を及ぼしたことと考えられています。
4月の製造業PMIの減少率は、中国で2004年に始まったPMIの歴史上、2番目の下落率で、新型コロナ感染が広まった2020年2月の減少率にわずかに及ばない程度です。
4月の新規受注区分指数は2ヵ月連続で低下し、2年以上ぶりの大きな落ち込みとなりました。多くの企業が、物流上の問題から新規受注を確保できなかったり、受注キャンセルにつながったりしたことを原因としています。
特に輸送困難の増加や新型コロナ感染拡大に伴う規制により、海外需要が弱まり、新規輸出受注は2020年5月以来の減少を続けていることがわかりました。
原材料仕入価格は、4月も大幅な上昇を続けましたが、感染拡大対策やロシアのウクライナ侵略戦争に伴う物流・原材料コストの上昇によるものですが、3月の上昇からは、やや緩やかになりました。
雇用指数も若干低下しており、これは感染拡大対策の規制により労働者の工場への帰還が困難になっていることを指摘する企業もあります。
財新シンクタンクのシニアエコノミスト王喆氏は、「今回の感染拡大で、多くの会社員やアルバイト、低所得者層は収入が減り、生活が苦しくなった。 これは政策立案者が無視できないことだ」と指摘しています。
新型コロナ感染拡大対策としての中国の『ゼロコロナ政策』は、巨大都市上海を封鎖し、日々患者数が増加している首都北京でも一部地域で封鎖が始まっており、数十の大都市と数億人の人々が影響を受けています。
この感染拡大と厳しい疫病対策は、第2四半期の中国経済の成長に深刻な影響を与えるものと思われ、またウクライナ戦争や国内不動産市場の長期低迷も中国経済に影響を与えるものと思われています。
中国の第1四半期(1月~3月)の国内総生産(GDP)成長率は年率換算4.8%増と低調な結果でしたが、第2四半期(4月~6月)は4%を下回ると見られています。
3期目の国家主席を狙う習近平は、今年末に予定されている共産党大会に向けて、『ゼロコロナ対策で感染症を抑え込んだ』と言う実績を作るため爆進しています。
習近平はもともと経済音痴とも言われており、中国経済がどうなるかに関心が無いとも噂されていますので、中国経済の低迷はしばらく続きそうです。
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参考記事
<美國之音>中国4月制造业景气持续下降 创26个月来新低
http*://bit.ly/3vwoDdM
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