黄大仙の blog

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米国と中国が太平洋における影響力をめぐって争う バイデン大統領の特使がマーシャル諸島を訪問へ

バイデン米国大統領は、来週、小さいながらも戦略的に重要な太平洋の島嶼マーシャル諸島へ、特使代表団を派遣します。太平洋地域は、中国が影響力を拡大しようとしており、米国では、懸念が高まっている時です。

  米国国営メディアの美國之音の記事より。

米中の陣取り合戦が繰り広げられる太平洋島嶼

  バイデン大統領が3月に任命した上級外交官ジョセフ・ユン氏は、同氏が率いる代表団と614日から16日にかけてマーシャル諸島を訪問することを明らかにしました。

 

  米国務省報道官によると、ユン外交官が、来年期限切れとなるマーシャル諸島への米国の経済支援を規定する自由連合盟約(COFA)に関する協議を行うと述べた。

 

  米国はミクロネシア連邦パラオとも同様の盟約を結んでおり、それぞれ2023年、2024年に期限が切れるが、これらの交渉もユン外交官が担当しています。

 

  盟約更新交渉はトランプ前政権時代に始まっていましたが、ユン外交官の任命前に棚上げされていたため、米国が中国との影響力争いに敗れるとの懸念が高まっていました。

 

  太平洋の島々は、米国の中国との戦略的競争において重要な位置を占めるようになっており、中国は、この地域の国々の支持を得るために外交努力を強めています。

 

  中国の王毅外交部長は、526日から64日までの10日間、太平洋島嶼8カ国を歴訪し、30日には滞在中のフィジーで、島嶼10カ国との外相会議をオンラインで開催しました。

 

  外相会議では、中国が提案した包括的貿易・安全保障協定については、審議が延期されることになり、米国やオーストラリアを安心させました。

 

  しかし、習近平国家主席が外相会議に「中国は島嶼国の友人だ。運命共同体を築きたい」とのメッセージを寄せており、米豪やニュージーランドは、太平洋地域における中国の影響力拡大の試みについて共通の懸念を表明しています。

 

  米国は、マーシャル諸島ミクロネシアパラオとのCOFA更新交渉をトランプ政権下で開始しましたが、トランプ政権末期の202012月以後停滞しており、米国政府には、中国との影響力争いに敗れるのではないかという懸念が高まっています。

 

  王毅外交部長が太平洋地域を訪問したことで、米国政府関係者の間に危機感が芽生えたとのことです。

 

  マーシャル諸島が直面する主要な問題には、米国の大規模な核実験の遺産に対する補償、米軍基地の存在、気候変動の緩和などがあります。

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  米国と中国による太平洋という盤上の陣取り合戦は、まだ始まったばかりです。

 

 

  余談になりますが、1946年から1958年にかけて、米国はマーシャル諸島ビキニ環礁などで67回の核実験を行い、その結果、島民は健康や環境への影響に悩まされ続けています。

 

  特に195431日にビキニ環礁で行われた核実験は、「オペレーション・ブラボー」と呼ばれ、水素爆弾による米国史上最大の核実験であり、マーシャル諸島近海で操業していた日本の第五福竜丸が被曝したことで有名です。

 

  第五福竜丸被曝事件は、広島・長崎への原爆投下に次ぐ「日本を巻き込んだ第三の原子力災害」と見做され、日本は原子爆弾水素爆弾の両方の兵器による原子力災害を経験した国となりました。

 

  なお、第五福竜丸被曝事件は、1954年の映画「ゴジラ」が制作される動機にもなったという逸話も有名です。

 

  また、1946年にビキニ環礁で行われた原水爆実験のように衝撃的ということで、同年に発表されたセパレーツ型の大胆な女性用水着が『ビキニ』と名付けられたことも有名です。


 

参考記事

<美國之音>美中两国角逐太平洋地区影响力 拜登总统特使将访问马绍尔群岛

https://bit.ly/3MEIVaa