中国政府による3年にわたる厳しい「ゼロコロナ政策」と香港国家安全法(2020年成立)の施行により、香港から外国企業が大量に流出しています。 ゼロコロナ政策は解除されたが、米国の学者たちは、香港が国際金融都市としてかつての栄光を取り戻せるかどうかを懸念しています。
米国議会の出資によって設立された短波ラジオ放送局の自由亜州電台の記事より。
ワシントンのシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)は、オンラインセミナーを開催し、香港が新型コロナ後に再び世界のビジネス拠点となりうるかどうかを学者たちが議論しました。
セミナーでは、在香港・マカオ米国総領事のグレゴリー・メイ氏は、新型コロナの流行が香港経済に与えた影響と、香港の自由が失われたことにより、多くの人が香港から米国に移住してきたと述べました。
メイ氏は、「香港国家安全法や中国・香港当局の慣行は、企業の人事、財務、法務、評判、業務に影響を与えている。 これを受けて、多くの企業がすでに他国に移転しており、中国共産党の現在のやり方では、さらに多くの企業や人々が逃げ出し、グローバルなビジネスの中心地としての香港の役割がさらに危うくなる。」と述べています。
メイ氏は、中国政府に対し、香港の民主制度、自治、法の支配、人権を尊重するよう求め、当局に違法に拘束されている香港人の解放を要求しています。
メイ氏はまた、香港の報道の自由を回復させることの重要性を強調しました。 メイ氏は、アップルデイリーと立場新聞などの香港のメディアは自ら検閲を行っていると指摘しました。
一例として、昨年10月、北京の四通橋で抗議の横断幕が掲げられましたが(四通橋事件)、海外メディアで大きく取り上げられたこの出来事は、香港のメディアは報じませんでした。
中国当局は、米国政府が香港のために発言することは、中国の内政干渉であると度々非難していますが、メイ氏は、「米国企業は香港に1300社が所在し、米国企業は香港に数十億ドルを投資し、数万の米国人が香港に住んでいるので、米国企業の利益が損なわれた時に発言することは内政干渉ではない」と反論しています。
メイ氏は、「香港が成功した理由は、中国本土の都市とは全く違うからだ。かつて香港には報道の自由があり、ファイアウォールを通さずにインターネットが使えた。これらは外国人を香港に引きつけるものであった。中国と香港当局が過去に戻り、香港に自治権を与えることを望む」と述べています。
セミナーでは、前香港・マカオ米国総領事のハンスコム・スミス氏も、「中国当局が香港国家安全法は少数の人にしか影響しないと言い続けているが、中国当局が政敵を取り締まる口実になっている」と香港国家安全法に疑問を呈しています。
スミス氏によると、香港の投資環境はまだ中国本土よりも良く、香港が世界の貿易センターであり続けることは可能だが、国家安全法は依然として外国企業の香港への投資に多くの不確実性を与えており、香港の長期的発展にマイナスの影響を及ぼすと指摘します。
香港に拠点を置く中播数据有限公司の総裁兼董事長の黄秋智氏は、国家安全法によってすでに香港の多くの企業がシンガポールに転出していることに対し「香港の国家安全法の施行が問題なのではなく、中国政府がどのように施行するか分からないことが問題だ」と述べています。
香港自由基金会のワシントン・ディレクターであるオリビア・イーノス氏は、「香港国家安全法は、法の支配の劣化、中国政府によるサイバー検閲、報道の自由の欠如によりタイムリーで正確な情報が得られないなど、国際ビジネスに多くのリスクをもたらす」と指摘しています。
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2020年6月の香港国家安全法施行から2年半、香港の中国化が進んでいます。民主活動家のリーダー黄之鋒(ジョシュア・ウォン)も国家安全法違反で逮捕勾留中、民主の女神と言われた周庭さんも表舞台からは消えてしまいました。
ビジネス的には香港はもう、魅力的な都市ではなくなってしまいました。観光やショッピングでは魅力は残っているかもしれませんが。
深圳に勤務していた頃には、イミグレ近くに住んでいたこともあり、毎週のように香港に遊びに行ってましたし、平日でも仕事帰りに香港に行って晩御飯食べて帰ってくるなんてこともしてました。
最近香港には行っていませんが、今はどんな雰囲気なんでしょう?
参考記事
<自由亜州電台>疫情下外国企业出逃三年 香港经济可否恢复荣光?