世界第2位の経済大国中国の景気回復が鈍化しています。景気動向を予測する購買担当者景気指数(PMI)は5月、予想を下回る弱い結果となりました。工業部門が縮小を続け、サービス部門は拡大が鈍化しています。
ドイツ国営の国際放送事業体である徳国之声の記事より。
中国国家統計局が31日に発表したデータによると、中国の購買担当者景気指数(PMI)は工業部門で48.8と、4月の49.2から予想に反して低下しました。PMIが50を下回ることは、生産が縮小していることを意味します。
サービス部門のPMIも54.5と拡大領域にはあるものの、4月の56.4から予想に反して低下しました。工業部門とサービス部門のPMIは、いずれも専門家の予想を下回りました。
2023年第2四半期から、世界第2位の経済大国が冷え込んでいる理由は様々です。「輸出の伸びが鈍化した」「住宅市場が予想ほど回復していない」「政府がインフラ支出を減速している」「 企業収益の減少」「米国とその同盟国との政治的緊張」などが挙げられます。
中国政府は、厳格なゼロコロナ政策の終了以降、今年2023年中に成長の勢いを取り戻したいと考えており、今年の第1四半期の成長率は前年同期比4.5%でした。
中国共産党指導部は、今年の成長目標を5%程度に設定しますが、この目標を達成するためには、成長率がさらに上昇する必要があります。
日本の野村證券はレポートの中で、「PMIの低下は、特に製造業において下降スパイラルのリスクが現実味を帯びてきていることを示している。6月のPMIは縮小圏(50以下)にとどまる可能性が高い」と予測しました。
中国の製造業は、世界的な需要の減退によって大きな打撃を受けています。中国内では、ゼロコロナ対策の解除後、消費者は旅行などの消費活動への支出が回復していますが、予想より強くはありません。
英ロンドン拠点のコンサルティング会社キャピタル・エコノミクスの最新レポートによると、5月の中国経済は、産業界が苦戦し、建設工事に対する財政支援も弱まり、回復のペースはかなり遅かったことが示されました。産業部門の弱いPMIは、他のアジア諸国でも同様のパフォーマンスを示しています。
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不動産バブルの崩壊、欧米のデカップリング、米国による半導体規制など、中国経済を取り巻く環境は、お先真っ暗のようですが、救世主は現れるのでしょうか?
参考記事
<徳国之声>5月中国官方PMI不如预期 工业尤其堪忧