黄大仙の blog

何にでも首を突っ込みたがる好奇心旺盛なOJISANブログです。

米シンクタンク:中国はロシアとの貿易を大規模に拡大したわけではない

米国のシンクタンク、アトランティック・カウンシルの調査によると、ロシアがウクライナに本格的に侵攻して以来、中国はロシアとの貿易を強化したが、インド、トルコ、ギリシャなどの国に比べると、その程度ははるかに低いことがわかりました。さらに、中国がロシアとの経済取引に一定の抑制を加えているとの指摘もあります。

  ドイツ国営の国際放送事業体である徳国之声の記事より。

制裁中のロシアとの貿易額が増えている国が多い

  米国のシンクタンク、アトランティック・カウンシルの調査によると、2022年に入ってから、非同盟諸国や一部のEU加盟国を含めて、多くの国がロシアとの貿易を増やしました。

 

  報告書では、これらの国々からの対ロ貿易の急増は、必ずしもプーチン侵略戦争への支持を示すものではなく、企業や国がロシア市場の新たな隙間を埋めるために安価な輸出品を追い求めた結果である可能性が高いと論じています。

 

  2022年、インドの対ロシア貿易は前年比約250%、ギリシャの対ロシア貿易は前年比100%、トルコの対ロシア貿易は前年比93%と急増しています。

 

  インドとトルコは、ロシア経済の主要部門に重要なライフラインを提供しています。インドはEUを抜いて、中国に次ぐロシアの石油輸出先となり、トルコは、集積回路半導体を含む電子機械や部品のロシアへの重要なサプライヤーとなっています。

 

  トルコ企業はまた、化学製品、プラスチック、ゴム製品、自動車を大量にロシアに輸出していますが、G7の圧力により、トルコはロシアへの制裁物資の輸送を停止することに合意しました。

 

  報告書は、中国はロシアにとって最大の貿易相手国であるものの、中露貿易は昨年1880億ドルで、前年比27%増にとどまったと指摘しています。

 

   中国の経済規模がロシアの第2位の貿易相手国であるトルコの20倍以上であることを考慮すると、中露貿易はそれほど目立つものではなく、多くの米国の同盟国やパートナー国がロシアと行っている貿易よりも低いといえます。

 

  報告書は、ロシアと中国の貿易の増加は、2013年に始まったロシアの「ルックイースト」戦略と関連していると示唆しています。また、2022年に人民元がドルとルーブルの両方に対して下落したことで、中国のロシア向け輸出品の競争力が高まりました。

 

  中国から見れば、中露貿易は中国の対マレーシア貿易と同等であり、中国の対ベトナム貿易よりはるかに低く、しかも、この2カ国の経済規模はロシアの5分の1に過ぎません。

 

  報告書は、「中国がロシアとの経済的な関わりにおいて、ある程度の自制心を発揮し、中国の利益が優先する場合にのみ行動していることを示す兆候が実際に存在する」と述べています。

 

  報告書は、20222月のロシアのウクライナ侵攻後、中国の銀行がロシア製品購入の融資を停止したこと、中国は2022年を通じてロシアへの大規模な新規投資の資金調達を避けたこと、シノペックなどの国有企業が以前の投資計画を停止したこと、習近平20233月にロシアを訪問してもプーチンが期待したパイプライン「パワーオブシベリア2」の即時合意には至らなかったなどを挙げています。

 

  報告書によると、中国やその他の外国企業がG7の制裁や輸出規制を回避する例はあるものの、一般的に中国は、米国の制裁や二次的制裁を受けることを恐れて、制裁や輸出規制を遵守しているようです。一方、中国は国連やG20でロシアに外交の手を差し伸べ続け、2022年にはロシアに数百万ドル相当のドローンやドローン部品を販売しています。

 

+++++++++++++++++++++++++++++

  中国が『秘密裏にロシアに武器を含む物資を輸出して、欧米の対ロシア制裁破りをしている』との噂は絶えませんが、この記事によれば、決してそんなことはなく、対ロシア貿易金額だけを見れば、インド、トルコなどと比べても、中国の対ロシア貿易金額はそれほど多くなく、侵略戦争勃発後も大して増えていなようです。

 

  中国はインドと同じく、ロシアの原油を安く買い叩いているそうなので、「原油を買ってロシア支援している」とまでは言えないかもしれませんね。

 

  しかしながら、この記事がかつて「中国のポチ」と言われたドイツのマスコミの記事なので、どの程度割り引いて読めばいいのか不明です。

参考記事

<徳国之声>美国智库:中国没有大规模扩大与俄罗斯的贸易

https://x.gd/hTejB