ピストリウス独国防相は8月4日、マニラでテオドロ・フィリピン国防相と会談し、両国間の軍事協力を深めることを決定しました。ドイツの国防相がフィリピンを訪問するのは初めてのことです。両国防相は共同声明で、南シナ海に関するハーグ国際仲裁裁判所の2016年の裁定は国際法上有効であると強調しました。
ドイツ国営の国際放送事業体である徳国之声の記事より。
会談後、ボリス・ピストリウス独国防相とジルベルト・テオドロ・フィリピン国防相は、両国は今年10月までに、遅くとも年内に、防衛政策条約において軍事協力を深めるためのルールと目標を確立する予定であることを明らかにし、「防空、沿岸防衛、そしてフィリピンによる輸送機の調達など、軍備分野でより緊密な協力関係を築きたい。そしてその前に、両国はまず軍事訓練における協力の拡大を望んでいる。」と述べました。
テオドロ・フィリピン国防相は記者会見で、「フィリピンは対外防衛を強化するために軍備の近代化を目指しており、潜在的な供給国としてドイツに期待する。」とも述べました。
今年はフィリピンとドイツの外交関係樹立70周年にあたります。南シナ海における緊張の高まりを背景に、両国は軍事協力の深化を模索しています。
今年に入り、フィリピンの艦船と中国の艦船が係争海域で摩擦を繰り返していますが、フィリピンはつい最近、中国と一時的な合意に達し、緊迫した状況を少し和らげました。
南シナ海は世界で最も重要な貿易ルートのひとつであり、鉱物資源や水産資源も豊富です。ここでの主権争いには、中国、台湾、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、インドネシア、その他の国や地域が関与しており、中国が南シナ海のほぼすべての島と岩礁に対する主権を主張しているのです。
2016年、ハーグ国際仲裁裁判所は、南シナ海のすべての島と岩礁は領海を作ることはできず、中国は南シナ海の水域に対する「歴史的権利」を主張することはできないと裁定しました。
中国は自分勝手な『歴史的権利』に従って南シナ海の海域に対する主権を主張することはできないのです。しかし中国はこの判決の正当性を繰り返し否定しています。
8月4日の会談で、ドイツとフィリピンの国防相は、南シナ海に関する2016年の裁定は「法的効力を持つ最終決定」であると強調しました。
フィリピンのテオドロ国防相は、南シナ海での紛争は「原因はただひとつ、南シナ海の大部分を不法に占拠しようとする中国の一方的な試みだ」と付け加えました。
テオドロ比国防相は、フィリピンは国際的なルールに基づき各国と協力することを約束し、「フィリピンは中国を刺激しない、我々は戦争を望んでいない」と述べました。
ピストリウス独国防相はまた、「インド太平洋地域におけるドイツのコミットメントは、どの国に対しても向けられているわけではない。ルールに基づく秩序の維持、航行の自由の確保、貿易水路の保護に焦点を当てている。」と述べました。
フィリピン訪問に先立ち、ピストリウス独国防相はまず、ハワイで行われたアメリカ主導の合同軍事演習に参加するドイツの海軍と空軍の部隊を視察した後、韓国を訪問し、8月2日にアメリカ主導の在韓国連軍司令部に正式に加盟する文書に署名しました。
こうしてドイツは、半島で軍事衝突が起きた場合、韓国の防衛を支援することを約束しました。
ピストリウス独国防相は、この動きはドイツがヨーロッパの安全保障はインド太平洋の安全保障と密接に結びついていると確信していることを示していると述べました。
中国側としては、NATO加盟国が近年、日本、韓国、フィリピンといったアジア諸国との結びつきを強めていることを懸念しています。
7月末、中国の王毅外相は、ラオスで開催された東南アジア諸国の外相会議で、「NATOのアジア太平洋への介入は、対立と衝突を誘発し、緊張を悪化させるに違いない。すべての当事者は強く警戒し、断固として反対しなければならない。」と警告しました。
参考記事
<徳国之声>德国防长到访菲律宾 两国加强军事合作