中国に進出している欧州企業は「戦略の見直し」を迫られています。EU商工会議所がこのほど発表した年次報告書によると、中国における将来の収益性についてこれほど多くの企業が悲観的な見方を示したのは、2012年以来のことだといいます。EU商工会議所のイェンス・エスケルンド会頭は、主な変化として、中国市場が再出発しようと奮闘している中で、市場が急速に悪化していることを挙げています。
フランス国営ラジオ放送局RFIの記事より。
「Covid19流行が終息して以来、世界第2位の経済大国である中国は再出発しようとしているなか、欧州企業にとっても、自問自答する時期に来ている。」とフランスのエコー紙は指摘しています。特にEU商工会議所は、「中国における市場戦略を真剣に考え直す」よう警告しています。
先週発表されたEU商工会議所の最新年次報告書では、「多くの投資家は現在、中国市場で経験している問題が永久に続くかもしれないという事実に直面している」と強調しています。
EU商工会議所は中国に設立された1700社以上の欧州企業を代表しています。
中国における欧州企業の描く姿は、中国があらゆる国際戦略において重要な位置を占めていた時代とは対照的でする。
EU商工会議所の調査によると、会員の71%の中国における利益率は現在、世界平均かそれ以下であり、調査対象となった欧州企業の44%が将来の収益性について悲観的であると回答しました。この悲観的な見方は、2012年のEU商工会議所の最初の調査以来、一度もなかったことです。
EU商工会議所のイェンス・エスケルンド会頭はフランスの報道陣の取材に応じ、次のように強調しました。「2021年以前と比べた主な変化は、中国市場が急速に悪化していることです。つまり、これまで繰り返し直面してきた規制上の問題に加え、中国市場で収益を上げることの難しさにも直面し始めているのです。」
エスケルンド会頭は、「中国に進出しているますます多くの欧州企業が、今や転機を迎えている」と強調しました。
EU商工会議所のカール・ヘイワード事務局長も、「投資家たちは今、中国でのビジネスをより詳しく見ようとしている。株主は現在、この状況に対して非常に無関心であり、報酬とリスクがもはや比例していないという事実を軽視しているだけである。」と付け加えました。
「これは、中国に進出している欧州企業が、過剰生産能力、市場参入の難しさ、規制の壁(特に公共調達)、政治色の強いビジネス環境といった多くの問題に対処しなければならないためである。」と報告書は指摘しています。
この点に関して、最近EUとの摩擦が高まっていることから、2つのパートナー間の貿易戦争への懸念が高まっています。
また、中国における反スパイ対策や国際関係に関する最近の法律により、外国企業はこれらの法律の遵守を確保するためにより多くのリソースを割かざるを得なくなっています。
こうした背景から、EU商工会議所は、中国でビジネスを展開する欧州企業にとってのリスクは、(報酬が減少しているように見える一方で)増加している。」と述べました。
EU商工会議所によると、このことは、より法的な確実性を提供できる他の市場の魅力を高めています。
しかし、イェンス・エスケルンド会頭は「中国にはまだ大きな可能性がある」とコメントしました。
彼は「中国政府のさらなる行動」を求めています。7月の中国共産党三中全会では、重要な経済の方向性に焦点を当てた改革への期待が高まったものの、具体的な措置は発表されていないからです。
報告書は、三中全会の結論が、「中国の目的に沿い、安全保障により重点を置いた国家部門の復帰が、民間部門よりも好まれるかもしれない 」ことを示唆していると指摘しています。
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EU商工会議所は中国を表現するのに『投資できない(uninvestable)』との言葉を用いることはないとの見解を示していますが、経済よりも(中国共産党の)安全保障を優先させていると見ています。
まだ中国には未練があるけど、リスクも高いので躊躇しているという状況です。
参考記事
<rfi>在中国的欧洲企业被迫重新思考其战略