12月27日、中国は米国企業7社に対する制裁措置を発表しました。これは、先週米国政府が台湾への5億7,130万ドル(約900億円)の軍事援助プログラムを承認したことに対する中国の反応であり、中国政府はこれを中国の「主権と領土保全」に対する重大な侵害であると指摘しました。
ドイツ国営の国際放送事業体である徳国之声の記事より。
ジョー・バイデン米大統領は台湾への最大5億7,130万ドルの軍事援助を承認しました。これに対し、中国外交部はアメリカ企業に対する制裁を発表し、米国の行為は「中国の内政に深刻な干渉を加え、中国の主権と領土保全を著しく損なうものだ」と非難しました。
中国外交部はまた、声明の中で2025会計年度米国国防権限法案を非難しました。同法案には台湾との安全保障協力構想が盛り込まれており、台湾の防衛産業との協力強化を求めています。
中国外交部によると、中国は「中国の領土内」にあるアメリカの防衛関連企業7社の動産、不動産、その他の財産を凍結するとのことです。その7社とは、インシトゥ、ハドソン・テクノロジーズ、サロニック・テクノロジーズ、アーコム、インターナショナル、レイセオンである。インターナショナル社、レイセオン・カナダ社、レイセオン・オーストラリア社です。
中国が27日に発表した制裁措置は、これらの企業が今後中国の企業や個人と取引を行うことも禁止しています。米国は国交レベルでは台湾を承認していないが、同時に台湾にとって最も重要な戦略的同盟国であり、最大の武器供給国でもあります。
中国は、必要であれば台湾を支配するために武力行使も辞さないと繰り返し宣言しており、近年は台湾への圧力を強めています。台湾の頼清徳総統が今年5月に就任して以来、中国は3回にわたって大規模な軍事演習を行っています。
中国外交部の毛寧報道官は、「米国は独立を助けるために武力を行使することで、自らの身を焼くだけだ。」と警告し、「中国は自国の主権、安全保障、発展の利益を断固として守るため、必要なあらゆる措置を取り続ける」と述べました。
27日の北京からの最新の声明は、中国が今月初め、台湾への武器販売に関与している他の13の米国企業に対する制裁を発表したのに続き発表されました。
+++++++++++++++++++++++++++++++
中国が米国企業を制裁したのが、どのような法律に基づくものなのか記事中に記載がないのですが、おそらく「反外国制裁法」に基づいた制裁だと思われます。
中国の「反外国制裁法」は、2021年6月10日に全人代常務委員会によって成立・施行されました。この法律は、外国からの経済制裁に対抗するための措置を規定するものです。
この法律の成立背景には、特に新疆ウイグル自治区や香港を巡る人権問題や、5G通信技術を巡る国際的な緊張が存在します。欧米諸国が中国に対して制裁を課す中、中国はこれに対抗する法的な枠組みを整備する必要性を感じました。
反制裁措置: 外国が中国またはその市民に対して制裁を課した場合、中国政府はその国やその個人・組織に対し、ビザの発給拒否、国外退去、中国国内の資産の差し押さえ、取引禁止等の対抗措置を取ることができます。
対象者: 制裁を課す外国政府の公職者やその家族、および関連組織や企業が対象となります。この法律は、中国国内に存在する外国人や外資企業に対しても適用される可能性があります。
法の適用と運用: 法は非常に広範で、「反外国制裁法」の第6条4項では「その他必要な措置」と言う表現を用いており、具体的な運用は行政機関の裁量に任されています。このため、適用が予測しづらく、企業や個人の行動に影響を与える可能性が高いです。
ビジネスへの影響
投資環境: 外資企業は中国ビジネスのリスクが増大することを認識し、リスクマネジメントを強化する必要があります。特に、自身の国が中国に対して制裁を科した場合、その報復措置として営業停止や資産凍結のリスクが生じます。
コンプライアンス: 企業は自国法と中国法の間でバランスを取る必要があり、制裁に関する情報を常に把握し、適切に対応する体制を整えることが求められます。
人的資源管理: 在中外国人スタッフや管理者は、自身の行動がこの法律の対象となる可能性を考慮し、行動を慎重に監視する必要があります。
「反外国制裁法」は、中国が国際的な圧力に対抗するための重要な手段となりますが、同時に国際ビジネスコミュニティに対しても新たな挑戦を投げかけます。企業はこの法律の存在を認識し、戦略的な法務対応とリスク管理が不可欠です。
この法律に関する情報は常に更新される可能性があるため、最新の法令動向や法律専門家の助言を求めることが推奨されます。
参考記事
<徳国之声>中国宣布对美国七家军工企业采取反制措施