米中の学者による長期共同研究によって実施された大規模調査によると、習近平共産党総書記の就任後間も無い2014年には、調査対象となった中国人の73%が今後5年間は良くなると考えていたが、2023年には、今後5年間は良くなると考える回答者は47%にとどまり、3分の1以下に減少しました。
フランス国営ラジオ放送局RFIの記事より。
BBCの報道では、この調査によると、2014年時点の過去5年間で景気が良くなったと感じた中国人は76.5%だったが、2023年には良くなったと感じた人は38.8%にとどまり、3分の1以下に減少しました。
「習近平は中国経済を心配しているが、中国人はどう考えているのか?」と題されたこの長文のレポートは、2023年にハーバード大学のマーティン・ホワイト教授とスタンフォード大学のスコット・ロゼル教授が中国の学者と共同で行った大規模な調査に基づいて結論を出しています。
報道はまず、低迷する中国経済について、憂慮する中国指導部が先週、あらゆる手を尽くしてきたことを指摘し、習近平が9月30日、「前途には困難で危険な障害があるに違いない」という事実と、「不確実で予測不可能なリスクや挑戦はすべて克服する決意だ」と言及したことに触れており、多くの人はこれを中国経済への言及と受け取っています。
報道では、景気減速が一般の中国人にどのような影響を及ぼしているかは不明であり、彼らの期待や不満はしばしば厳しくチェックされているとしていますが、前述の大規模な調査では、中国国民はますます悲観的になり、将来性に幻滅していることがわかりました。
2023年に先立ち、マーティン・ホワイト教授とスコット・ロゼル教授は2004年、2009年、2014年に中国で同じ大規模調査を行っています。
この4回の調査のうち、最初の3回は新疆ウイグル自治区とチベット自治区を除く中国の29の行政区で、18歳から70歳までの回答者を対象に、厳重な守秘義務のもとで実施された対面インタビューでしたが、2023年の第2四半期から第4四半期は、20歳から60歳までの回答者を対象に、オンライン・インタビューによって実施されました。
同調査によると、2004年には、中国の回答者の60%近くが過去5年間で家計の状況が改善したと考えており、今後5年間についても同程度の割合が楽観的であったが、2009年には、過去5年間で家計の状況が改善したと感じる回答者の割合は72.4%に上昇し、今後5年間についても楽観的な回答者の割合は68.8%に上昇しました。
習近平政権が誕生した直後に当たる2014年には、「過去5年間で景気が良くなった」と感じる人は76.5%に、「今後5年間を楽観視できる」と感じる人は73%にそれぞれ上昇し、同時にピークに達しましたが、2023年には「過去5年間で景気が良くなった」と感じる人は38.8%に、「今後5年間を楽観視できる」と感じる人は47%にそれぞれ急落しました。
さらに、2004年、2009年、2014年の調査では、中国では回答者の60%以上が「努力は必ず報われる」と考えており、そう思わない人はわずか15%程度でした。
しかし、2023年には、「努力は必ず報われる」と考えている人はわずか28.3%にすぎず、将来を悲観的に感じている人の割合も、2004年の2.3%から2023年には16%に悪化しています。
BBCの報道では、中国人は昔から「一生懸命勉強すれば、大人になったら自然に稼げるようになる」と教えられており、習近平は若者にもっと苦しむよう勧めてもいたと言及しました。
しかし、2023年の調査結果によると、中国人の回答者の大半は、人々が豊かなのは家族や縁故主義がもたらす特権のためであり、教育や本人の努力とはあまり関係がないと考えています。
報告書の分析によると、COVID-19の発生に対する中国当局の力尽くの封鎖戦術は、『あななたたちは権威主義国家に住んでいるだぞ』と人々に警鐘を鳴らし、ゼロコロナ解除後の景気後退、サラリーマン層の広範な賃金カットと相まって、人々の幸福感を奪っているといいます。
報告書によると、2023年のこの大規模調査のサンプル数は7,544であり、2004年、2009年、2014年の調査ではそれぞれ3,267、2,967、2,507でした。
この報告書に加えて、報道では中国における反対意見を監視する専門サイト「異言網(China Dissent Monitor)」のデータも引用し、中国における反対行動は今年第2四半期に前年同期比で18%増加し、その少なくとも4分の3は経済問題への不満に関連していると指摘しました。
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中国で株バブルが起きたのは2014年7月頃でしたが、2015年6月頃には崩壊しました。
2016年頃から習近平国家主席は、「住宅は住むためのものであり、投機の対象ではない」と繰り返し強調するようになり、2021年春先から不動産業界の低迷が始まりました。
2014年頃は通勤途上の地下鉄の中でも、周りの人々は老若男女問わずスマホ画面の株式チャートと睨めっこしていましたし、『儲かったから車を買おうと思う』などと景気のいい会話が聞こえてきたものです。
こんな状況でしたから、「今後5年間を楽観視できる」と感じる人が73%いても不思議ではなく、むしろもっと多くの人がそう感じていたのでは無いかとも思います。
それに引き換え、2023年には「今後5年間を楽観視できる」と感じる人は47%になっており、不況で生活が苦しくなっていますので、人々の心もギスギスしており、ちょっとしたきっかけで悲惨な事件が起きてしまいます。
9月18日には深圳で日本人の男児が刺殺される事件があり、9月30日には上海のウォルマートで18人が死傷する通り魔事件が起きました。
中国に渡航される方はお気をつけください。
深圳の事件は反日教育も原因の一つと言われていますが、外交部報道官の林剣が、「どこの国でも起こること」と言って、偶発的な出来事であると主張していました。
林剣報道官の言葉を皆さんがどのように解釈したのかわかりませんが、私には『中国人はどこの国にもいるのだから、このような通り魔事件は、どこの国でも起こることだ』と脅しているように聞こえました。杞憂に終わりますように祈っています。
<rfi>美中调查称习近平上台以来中国民众对未来乐观大减