中国の王毅外交部長は最近ネパールを訪問しましたが、「一帯一路構想」の推進に大きな進展はありませんでした。中国とネパールとはワクチンから経済・技術協力まで9つの協定・文書に署名しましたが、いずれも「一帯一路構想」に関するものではなく、ネパール当局者はさらなる交渉が必要だと述べました。
米国に拠点を置く、世界中の華人向けに中国、台湾、香港、マカオの政治、経済、社会、生活、金融などのニュースを報じる世界新聞網の記事より。
王毅外交部長は26日にカトマンズでネパールのナラヤン・カドカ外相と会談した後、両国は9つの協定に署名しました。
続けて王毅外交部長は、ネパールのシェール・バハドゥル・デウバ首相と会談し、デウバ首相は資金供給と新規プロジェクトの提供を中国に要請しました。
デウバ首相の報道官によると、王毅外交部長との会談でデウバ首相は「今のネパールが望んでいるのは融資ではなく、無償資金協力で中国にもっとプロジェクトを求めることだ」と強調したとのことです。
26日に中国とネパールとの間で締結された協定は、いずれも「一帯一路」構想に関連するものはありませんでした。
ネパールは中国に融資ではなく助成金プロジェクトをもっと増やしてほしいと依頼しています。ネパール側は交渉の中で、中国が補助金を出すこと、融資をするにしても「ソフトローン」「譲許的融資」にすることを主張した。
これは、中国政府が「一帯一路」プロジェクトの下で提供する融資は金利が高く、返済期間が短い傾向にありますが、ソフトローンや優待融資は最低金利で提供されるからです。
ネパール財務省の高官は、「ソフトローンの金利は2%を超えないものとすると金利の上限を設定した。返済期間については、国際基準または世界銀行、アジア開発銀行等の基準に準ずること。」と述べています。
また、ネパール側は「『一帯一路』のプロジェクトは万人に開かれたものであるべきで、中国企業だけに入札の権利があるわけではない」とも述べています。
『一帯一路の債務の罠』では、今年1月にスリランカが借金のカタに中国に港の運営権を譲渡させられたと報じられたことが記憶に新しいのですが、一帯一路の高い金利と短い返済期間に苦しめられている途上国の話は後を絶ちません。
ネパールはそのことをよく知っているためか、一帯一路プロジェクトは後回しにし、返済義務の無い助成金プロジェクトを優先させました。
一帯一路は曲がり角に差し掛かっているようです。
参考記事
<世界新聞網>一带一路卡关 王毅亲赴尼泊尔也没用 尼国媒体揭原因
http*://bit.ly/36SnHXa
|