かつて2019年初に、有名な持ち帰り用プラットフォーム「美团」の創業者である王興は、「2019年は過去10年で最悪の年かもしれないが、次の10年では最高の年だ」という言葉を投稿しました。当時は、王興も予言が当たるとは思っていなかったのではないでしょうか。
米国に拠点を置き、中国、台湾、香港、マカオの政治、経済、社会、生活、金融などのニュースを世界中の華人向けに発信するメディアの世界新聞網の記事より。
今から10年前、習近平が胡錦濤から中国共産党総書記のをき継いだ時の経済は、10年間の平均成長率が10%前後という活力に満ちたものでした。
胡錦濤が「妥協しない」10年の在任中に、中国のGDPはドイツや日本を抜き、世界第2位の経済大国に躍進しました。
2012年の中国共産党第18回全国代表大会を前に、人民日報は胡錦濤の在任10年間を「黄金の10年」と回顧していました。
習近平体制になってから、中国経済は明らかに下降線に入りました。しかし、歴史上、高成長を長く維持できた主要な経済はないのだから、これは驚くべきことではないかもしれません。
しかし、2017年からの習近平2期目は、米中貿易戦争に続き、北京当局によるネットビジネスや民間企業への取り締まりが加速し、特に2020年には世紀の疫病が発生し、同年の中国の経済成長率は1977年以来最低の2.3%に急落してしまいました。
疫病がうまくコントロールされたことなどで、中国の成長率は翌2021年には8.1%まで跳ね上がりました。 しかし、今年2022年は露・ウクライナ戦争の勃発や米国の金利上昇など、好ましくない外部要因が重なり、オミクロン株の猛威や習近平が主張する「ゼロコロナ」によって、中国経済は再び大きな打撃を受けることになりました。
先月末、世界銀行が最新のレポートを発表し、今年の中国の経済成長率を2.8%に大幅に下方修正しました。これは中国の改革開放以来一昨年に続き2番目に低い成長率となります。つまり、過去45年間で最も低い成長率の2つは、いずれもこの3年間に起こったということです。
習近平政権が3期目を迎えようとしている今、中国経済に対する市場の期待は総じて悲観的です。 ファーウェイの創業者である任正非は、8月下旬の社内講演で、今後10年間は「非常に苦しい」ものになる可能性があるとまで述べています。
任正非は、ロシア・ウクライナ戦争や米国による経済封鎖の影響により、今後3~5年の間に世界経済が改善される可能性は低いとの見方をしています。
任正非が中国経済の直面している外部的な課題について見ているのに対して、UBSの中国チーフエコノミストの王濤は内部要因に注目しており、それは疫病と不動産だと考えています。
不動産は中国経済の最も重要な柱となる産業ですが、十一国慶節の連休を前に、中国中央銀行と中国銀行保険監督管理委員会は、初回購入者向けの住宅ローン金利引き下げなど、住宅市場活性化のための3大政策を発表し、中国メディアは「重大政策の三本の矢」と評しており、住宅市場の先行きに対する当局の懸念は容易に察することができます。
「ゼロコロナ」が中国経済に与える影響については、さらに明らかです。 厳しい疫病対策規制によって経済の正常な機能が著しく損なわれていることに加え、海外経済団体の調査では、欧米企業が結果として中国からの撤退を計画しているケースが増えています。
中国が急速な高齢化に直面し、米国の先端技術の対中禁輸がエスカレートする中、「中国経済が『いつ』米国を追い抜くか」ではなく、「本当に追い抜けるのか?」と考える欧米の学者が増えてきています。
民主的な選挙がない中で、中国共産党支配の正当性は中国の経済実績にあると、中国系アメリカ人の政治学者裴敏欣をはじめとする多くの専門家が指摘しています。 したがって、経済が安定的に成長し続けられるかどうかは、習近平や中国共産党当局にとって、単なる経済問題ではなく政治問題です。
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参考記事
<世界新聞網>习近平治下 中国经济坠入痛苦10年