ロイター通信によると、中国の需要減退と米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げペース鈍化の可能性から、国際原油価格は下落しています。
米国議会の出資によって設立された短波ラジオ放送局の自由亜州電台の記事より。
中国国家統計局のデータによると、中国の製油所における10月の原油処理量は前年同月比で4.6%減少しました。
同時に、中国の製造業の減速や不動産需要の低迷も、世界最大の原油輸入国の経済健全性に対する市場の懸念を引き起こしました。
国際エネルギー機関(IEA)のファティ・ビロル事務局長はCOP29サミットで、世界の石油需要の伸びが鈍化する傾向にあるのは、主に中国経済の減速と電気自動車の普及が背景にあると述べました。
また、米小売統計が好調で、輸入物価が反発したため、市場は米連邦準備制度理事会(FRB)の12月利下げ予想を下方修正しました。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、利下げを急ぐ必要はないと発言し、原油価格の上昇に一段と水を差しました。
それにもかかわらず、米国のガソリン在庫は2022年11月以来の低水準まで減少し、原油価格下落のいくらかの下支えとなりました。
アナリストらは、ガソリン在庫統計による後押しがなければ、原油価格は今週さらに下落していた可能性があると指摘しています。
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国際原油価格の下落が日本経済に及ぼす影響は、以下のように考えられます。
・エネルギーコストの削減
原油価格の下落により、輸入原油のコストが削減されます。これは電気料金やガソリン価格の低下につながり、企業の運営コストや家庭の生活費負担を軽減します。
・消費者の購買力向上
ガソリン代や光熱費が下がることで、消費者の可処分所得が増加し、他の消費活動が活性化する可能性があります。これは内需の拡大を促進します。
・輸入依存経済の恩恵
日本はエネルギー資源を輸入に頼っているため、原油価格の低下は貿易収支の改善につながります。円高圧力が軽減され、輸出企業の競争力にもプラスとなる可能性があります。
・デフレ圧力の懸念
一方で、原油価格の下落は物価の押し下げ要因となり、デフレ懸念が再燃する可能性もあります。特に日銀のインフレ目標達成が遠のくことが課題です。
・産業構造の再検討
エネルギー価格が下がることで、再生可能エネルギーへの投資意欲が減少するリスクも考えられます。長期的にはエネルギー政策の見直しが求められる可能性があります。
・グローバル経済の影響
原油価格下落は産油国経済に打撃を与えます。中東やロシアなどの経済停滞が、世界経済に波及し、日本の輸出や海外投資に悪影響を及ぼす懸念もあります。
原油価格の変動は、日本経済に複雑かつ多面的な影響を及ぼします。企業や政府は短期的な恩恵だけでなく、長期的なリスクにも対応する戦略を求められます。
参考記事
<自由亜州電台>受中国需求减弱影响 油价有望周线下跌