ロイター通信が報じたところによると、気候変動に関する国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)は、22日の予定通りには閉幕することができませんでした。
米国議会の出資によって設立された短波ラジオ放送局の自由亜州電台の記事より。
会議の草案では、気候変動対策として2035年までに年間2500億ドル(約30兆7千億円)を富裕国が率先して途上国に提供することが提案されていました。
しかし、先進国はこの額が不当に高く、資金調達に参加する国の数が少なすぎると考えています。一方、途上国は、上記の誓約額は、増大する気候危機に対処するには十分ではないと主張しています。
資金提供を主導すると期待される国々は、欧州連合、オーストラリア、米国、英国、日本、ノルウェー、カナダ、ニュージーランド、スイスです。
草案は、中国やブラジルのような国々の要求に沿って、国連における発展途上国としての地位を損なうことなく、発展途上国が自発的に拠出するよう求めています。
AP通信によると、草案で提案されている金額は、15年前に設定された年間1000億ドルの目標の2倍以上だが、異常気象の影響を最も受けている途上国が要求している金額の4分の1以下だとのことです。
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COP29では、小島嶼国と後発開発途上国の交渉担当者らが23日に、交渉から撤退しました。協議会に参加したのに財政的要求に不満があったため無視されたと主張しています。
小島嶼国は、オセアニアなど海面上昇の脅威にさらされている国々で構成されており、小島嶼国同盟(AOSIS)のセドリック・シュスター議長は、「我々は撤退しただけだ。我々は公正な合意を得るためにこのCOPに来た。我々の声は聞かれていないと感じている」と語りました。
小島嶼国は海抜が低いため、気候変動による海面上昇が住民や経済に直接的な脅威となっています。たとえば、太平洋のキリバスやモルディブでは、海水が生活圏に入り込み、飲み水や農地が塩分で汚染されています。
また、気候変動による異常気象も問題です。台風や熱帯暴風雨の頻度と強度が増加し、家屋やインフラに甚大な被害をもたらしています。小規模な経済基盤しかないこれらの国々にとって、災害の復興には多大な費用がかかり、経済成長が妨げられることも少なくありません。
さらに、海洋温暖化によりサンゴ礁が死滅し、観光や漁業といった主要産業が影響を受けています。こうした状況は住民の移住を余儀なくし、気候変動による「環境難民」を増加させています。
これらの問題を解決するには、国際社会による支援や温室効果ガスの削減が不可欠です。小島嶼国の未来を守るため、世界全体で行動することが求められています。
ところが気候変動対策では、先進国が主に資金提供を求められる一方、中国やブラジルのような経済発展の著しい国々が十分な負担をしていない現状があります。
これは「共通だが差異ある責任」という国際的な原則が背景にあります。この原則では、過去に大量の温室効果ガスを排出した先進国が主に責任を負うべきだとされています。
例えば、中国は現在、世界最大の温室効果ガス排出国ですが、歴史的な累積排出量ではアメリカやヨーロッパ諸国の方が圧倒的に多いと主張し、自国が「発展途上国」であるとの立場を維持しています。
同様に、ブラジルもアマゾン森林保護の重要性を強調しつつ、自国の社会経済発展を理由に積極的な資金提供には消極的です。
この現状は、先進国側にさらなる負担を強いる一方で、発展途上国とされる国々が恩恵を受ける構図を生んでいます。そのため、国際的な交渉の場では、各国が公平に責任を分担する仕組みが求められています。企業にとっても、こうした不均衡は気候戦略の重要性を理解し、グローバルな視点で取り組む必要性を示しています。
参考記事
<自由亜州電台>联合国气候大会陷僵局 资金额度难达共识