黄大仙の blog

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蘇州日本人学校襲撃事件:52歳男に即死刑判決、判決は「日本」に言及せず

昨年624日に蘇州で発生した日本人学校バス襲撃事件で、54歳の中国人バス乗務員の胡友平さんが、日本人女性と幼い息子を守ろうとして暴漢に刺殺されました。 蘇州市中級人民法院23日、被告人である周加勝(52歳)に殺人罪で死刑判決を下しましたが、判決文の犯行動機には「日本」の要素はありませんでした。この事件の判決の背後には、当局が事件の真の動機を明らかにするよりも、日中関係への影響を避けることを重視したとの見方が強くなっています。

  米国に拠点を置き、中国、台湾、香港、マカオの政治、経済、社会、生活、金融などのニュースを世界中の華人向けに発信するメディアの世界新聞網の記事より。

昨年の蘇州日本人学校襲撃事件の犯人に死刑判決

  共同通信の報道によると、江蘇省蘇州中級法院で19日に始まったこの事件審理で、52歳の周加勝被告は故意の殺人罪で起訴され、判決は23日午前の法廷で発表されましたが、マスコミには公開されず、在上海日本国総領事館の岡田克総領事らが傍聴しました。

 

  蘇州事件は昨年624日に発生し、バス停で日本人のスクールバスを待っていた日本人母子が周加勝に刃物で襲われ、犯行を止めようとしたバスの案内係をしていた胡有平さん(54歳)が刺殺されました。

 

  裁判所の判決で明らかになったのは、借金を抱え、失業中で、生活のめどが立たない周加勝が、社会に極端な復讐心を燃やし、蘇州でぬさ別にナイフで襲い、中国人のスクールバス職員を殺害、日本人母子2人を負傷させたということです。裁判所はこの事件を「社会的影響の極めて大きい凶悪犯罪」と評し、死刑を科すことを決定しました。

 

  日本のメディアは日本政府関係者のコメントを引用し、被告による控訴の知らせは受けていないと伝えました。判決文には、日本人に対する犯罪かどうかも含め、「日本」についての言及はありませんでした。

 

  同メディアはまた、中国政府は事件後、日本人を狙った犯行かどうかなどの日本側の情報提供を求めても避けてきたと主張しています。これに対し、林芳正官房長官は、犯罪行為は許されるべきではなく、日本側は判決を重く受け止め、中国側に在中邦人の安全確保を強く求めたと述べました。

 

  日本のメディアは、公判が始まってわずか2週間での判決を「素早い」と評し、国内での相次ぐ襲撃事件に当局は危機感を抱いているようで、一刻も早く事態を沈静化させるために厳正な措置を取るつもりだと伝えました。

 

  米メディアは、世論は概ね反日感情が襲撃の主な動機であった可能性があるという意見で一致していると指摘しています。特に深圳で日本人男児を狙った通り魔事件が起きて以来、日本社会は中国の治安環境に対する懸念を強めています。

 

  昨年9月、深圳で10歳の日本人男児が通学途中に襲われ死亡する事件が発生し、124日から公判が開かれています。中国当局が容疑者の真意を初めて明らかにするかどうか、外部は強い関心を寄せています。

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  たった2週間の公判で死刑判決が出る素早さはさすが中国です。中国の公判制度は、その迅速さにおいて世界でも知られています。特に、重大で凶悪な犯罪に対する判決は、しばしば非常に短期間に下されることがあります。このような速やかな裁判プロセスは、中国の司法制度が効率的である一方で、公正さや透明性に対する懸念を引き起こすこともあります。

 

 

  昨年中国で外国人がターゲットになった事件は下記の事件が挙げられます。

 

1. 江蘇省の事件 (20246)

  江蘇省蘇州市では、20246月に日本人母子が刃物を持った男に襲撃されました。この事件では、日本人親子のほかに、制止しようとしたスクールバスの添乗員である中国人女性が死亡するという悲劇的な結果となりました。この事件の犯人は、裁判が行われた後、迅速に死刑判決を受けました。中国政府は、外国人への攻撃に対する厳罰姿勢を示すため、速やかに判決を下すことで社会的影響を抑制しようとした可能性があります。

 

 

 

2. 吉林省の事件 (20246)

  6月、吉林省でも外国人がターゲットとなった通り魔事件が発生しました。公園で米国コーネル大学の交換教員4名が刃物を持った男に襲撃され、幸いにも全員が一命を取り留めましたが、この事件もまた中国政府の迅速な対応を反映しています。こうした事件の犯人に対する厳しい処罰は、国内外からの注目を集め、中国の司法制度の効率性と厳格さを示す一方で、裁判の公正性に関する議論も引き起こしています。

 

 

3. 深圳市の日本人男児殺害事件 (20249)

  深圳市では、20249月に日本人学校に通う男児が登校中に刃物で襲われ、死亡するという痛ましい事件が起きました。この事件は、中国社会全体に衝撃を与え、外国人への攻撃に対する警戒心を高めました。犯人は裁判後、死刑判決を受けました。中国政府はこの種の事件に対する厳格な対応を示すことで、国内の治安維持と国際社会へのメッセージを伝えようとしたと考えられます。

 

 

  中国の司法制度では、特に公共の安全を脅かすような凶悪犯罪に対する裁判が迅速に行われることが多いです。これは、犯罪抑止効果や社会の安定を目指す政府の姿勢によるものです。しかし、この短期間の判決プロセスは、弁護側の準備期間や証拠の再検討の時間を制限することから、公正さに疑問を投げかける声もあります。中国政府は、これらの事件に対する厳罰により、社会秩序を保つと同時に、外国人コミュニティに対する安全保障の強化を示しているのかもしれません。

 

  以上のように、2024年に中国で外国人がターゲットとなった通り魔事件は、裁判の迅速さとその後の厳しい判決を通じて、中国の司法制度の特徴を浮き彫りにしました。これらの事件は、中国の公判制度の効率性と、その裏にある公正さや透明性に関する問題を再評価するきっかけともなっています。

 

 


 

参考記事

<世界新聞網>苏州日校遇袭案 52岁男速判死、判决书未提「日本」

https://x.gd/B7JSW