ルビオ米国務長官は、中国の王毅外交部長との初の電話会談で、台湾問題について「重大な懸念」を表明し、王毅外交部長は米側に「この問題を慎重に扱う」よう求めました。
フランス国営ラジオ放送局RFIの記事より。
なお、中国外交部はルビオ国務長官と王毅外交部長の電話会談直後にコミュニケを発表しましたが、米国務省はその数時間後にこの問題に関する正式な声明を発表しました。
コミュニケの中で中国側は、米国務長官が台湾と南シナ海について表明した「深刻な懸念」には触れず、「米側は『台湾独立』を支持しない」とだけ強調しました。
米国務省のタミー・ブルース報道官は声明で、ルビオ国務長官の電話について「この地域の同盟国に対する米国のコミットメントを強調するとともに、台湾と南シナ海における中国の強圧的な行動によってもたらされた深刻な懸念を強調した」と述べました。
また、「トランプ大統領の政権は 、アメリカの利益を守り、アメリカ国民を第一に考える米中関係を追求する 」と強調しました。
21日にルビオ氏が国務長官に就任して以来、米中両国の外相が接触するのは初めてで、ルビオ氏は中国に対して厳しい姿勢で知られています。
中国外交部によると、王毅外交部長はルビオ国務長官に対し、台湾問題への対応に「慎重」になるよう求めたとのことです。王毅外交部長によれば、「台湾は古来より中国の領土の一部であり、我々は台湾が中国から分裂することを決して許さない。米国は3回にわたる中米共同コミュニケで、一つの中国政策の追求を厳粛に約束した。その言葉を反故にすることはできない。」と述べました。
王毅外交部長は、「われわれは誰かを追い越したり、取って代わったりするつもりはないが、われわれの正当な発展の権利を守らなければならない」と語っています。
米国は長い間、台湾を支援し、主要な武器供給国であったが、台湾の外交的地位は正式に認めていません。
先週の上院公聴会で、ルビオは中国を「米国がこれまで直面した中で最も強力で危険な敵」と呼び、侵略を防ぐために台湾への支援を強化することを約束しました。
電話会談の中で王毅外交部長は、「世界最大の経済大国である中国と米国は、新しい時代において、中国と米国が仲良くやっていくための正しい道を見つけなければならない」と強調しました。
そして王毅外交部長は、「両首脳は中米関係の方向性を示し、基調を整えた」と述べ、先週行われたトランプと習近平の 「重要な電話会談 」について言及しました。
中国側によると、王毅外交部長はルビオ国務長官に対し、「双方は 接触を維持し、相違をなくし、協力を拡大し、中米関係の安定的で健全かつ持続可能な発展を促進すべきだ 」と語ったとのことです。
ルビオ米国務長官は22日、フィリピンのエンリケ・マナロ国務長官との電話会談で、双方が署名した条約に基づき、米国はフィリピンの防衛に引き続き尽力すると述べました。
ルビオ国務長官は21日にもワシントンで日本、オーストラリア、インドの国務長官と会談し、中国の野心の高まりについて話し合い、24日にはベトナムとも会談しました。
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マルコ・ルビオ上院議員が米国務長官に就任したことで、米国の対中政策はさらに強硬な姿勢を強める可能性が高いです。ルビオ氏は、中国に対する強硬派として広く認知されており、特に以下の点で政策が変わることが予想されます。
ルビオ氏は過去に、中国の人権問題やウイグル強制労働防止法(UFLPA)の成立を主導するなど、経済的な制裁措置を通じて中国に対抗する姿勢を示してきました。今後も中国製品の輸入規制や特定企業への制裁を強化する可能性があります。
中国の技術覇権に対する懸念から、テクノロジー分野での協力や投資を制限する動きが加速するでしょう。特に半導体やAI技術などの重要な分野で、中国との技術供給チェーンから切り離す政策が進展する可能性があります。
ルビオ氏は「米国第一主義」を掲げつつも、NATOや東アジアの同盟国と連携することで中国への対抗策を強化する立場を取っています。これにより、日米間の安全保障協力や情報共有が一層深化するでしょう。
中国は米国の対中制裁や圧力に対して、報復的な関税や制裁措置を検討する可能性があります。特に、米国企業に対する規制強化や米国商品の輸入制限が考えられます。
国際社会での影響力を利用し、米国の政策を批判するキャンペーンを展開する可能性があります。また、ルビオ氏が中国に批判的な発言を続けるならば、中国はルビオ氏を個人的に攻撃する可能性も否定できません。
中国は自国経済の自立性を高めるために、国産化を推進したり、他国との新たな経済提携を模索する動きを加速させるかもしれません。これにより、米国の経済制裁に対する耐性を高めることを目指すでしょう。
日本への影響はどうなるのでしょうか?
米国の対中強硬政策が強化されることで、日本企業も中国市場との関係を見直す必要が出てくるかもしれません。サプライチェーンの多角化や中国市場からの撤退を検討する企業が増える可能性があります。
日本は米国の同盟国として、特に東シナ海や南シナ海での中国の軍事的行動に対して警戒を強める必要があります。ルビオ氏の下で、日米間の軍事協力が一層緊密になることが予想され、日本は防衛力強化を迫られるでしょう。
日本政府は、米中の対立が激化する中で、バランスを取る外交姿勢を維持するのが難しくなるかもしれません。中国との経済的なつながりを保ちつつ、米国との同盟関係を強化する必要性に直面します。
以上のように、ルビオ氏の国務長官就任は米中関係の緊張を高めるとともに、日本にも多面的な影響をもたらすことが予想されます。
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