台湾人観光客を装いフィリピンの軍事活動を撮影した中国人を逮捕
フィリピンのテレビ局GMAが報道じたところによると、南シナ海に近いパラワン州で、台湾人観光客を装ってフィリピン沿岸警備隊の艦船の動きを監視していたスパイ容疑の中国人数人が逮捕されました。
米国議会の出資によって設立された短波ラジオ放送局の自由亜州電台の記事より。
GMAによると、台湾人観光客を名乗る中国人数人が、パラワン州の海岸リゾートの隠れた場所で、基地から出入りするフィリピン沿岸警備隊の船の動きを携帯電話で撮影していたところ、地元住民がそのうちの一人を現行犯逮捕しました。
地元住民によると、容疑者らは許可申請なしにドローンを使用し、さらにフィリピン沿岸警備隊と海軍の船が出入りする海に面したリゾートのココナッツの木に監視カメラを設置していました。
GMAテレビは、容疑者たちはスパイ容疑を否定していると報じていますが、フィリピンのロメオ・ブラウナー参謀総長は「我々は多くの証拠を集めた。携帯電話には、軍事キャンプの写真、船舶の写真......船舶や軍事装備が写っているが、我々が捕まえたのは一部に過ぎず、まだ他にもある。」と述べました。
マニラ発の中央通訊社の報道によれば、フィリピン国家捜査局の捜査官は約2週間前、マニラ首都圏のマカティ市で、フィリピンに長年住んでいる鄧という中国人の男を逮捕し、軍事基地周辺の地形や建物の情報を収集するため、フィリピン人の共犯者と共に探知機を装備した車を運転した容疑がかけられています。
鄧の妻は記者会見で、夫が中国のスパイであることを否定したいます。GMAテレビは情報筋の話を引用し、逮捕された中国人の何人かは鄧容疑者と関係があることが捜査でわかったと伝えました。
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中国は日本でもスパイ行為を行っているとされており、近年注目を集めています。2024年12月には、中国当局が邦人女性の日本国内での行動に対しスパイ罪を適用し、6年間の服役を命じた事例が報じられました。この事件は、尖閣諸島に関する情報を日本政府側に提供したことが原因とされていますが、国家機密に該当しない情報であったにも関わらず、スパイ罪が適用されたことが注目されました。これは、日本国内での行動がスパイ行為と見なされる可能性があることを示唆しており、日本政府の対応や対策が求められています。また、2023年には、中国の反スパイ法が改正され、スパイ行為の定義が拡大され、国家安全保障に関連する情報の提供や窃取が新たに含まれるようになりました。この法改正により、中国では個人の携帯電話やパソコンが検査可能となり、外国人に対する監視が強化されています。
もちろんスパイ行為は中国だけが行っているわけもなく、各国も外国でスパイ行為を行なっています。
アメリカのCIA(中央情報局)は、世界各地で諜報活動を行っており、特に冷戦時代のソ連や現在では中国、ロシアに対する情報収集が注目されています。2024年には、元CIA職員が中国政府のためにスパイ活動を行ったとして禁錮10年の刑を言い渡されました。これは、アメリカが他国での情報収集にどれだけ力を入れているかを示す一例です。
ロシア:
ロシアのFSB(連邦保安局)は、外国のスパイ活動を防ぐだけでなく、自らも海外での諜報活動を行っています。ウクライナ侵攻前後の情報戦や、欧州諸国での暗殺未遂事件などが報じられており、ロシアの影響力拡大のためのスパイ活動が活発であるとされています。
イギリス:
イギリスのMI6(秘密情報局)は、世界中で情報収集を行っており、特に中国の脅威に対して警戒を強めています。2024年には、中国スパイ活動の拡大に対する警戒がイギリスの政府通信本部(GCHQ)のトップによって強調されました。
日本:
日本には正式なスパイ防止法が存在しないため、スパイ行為の対策は限定的です。しかし、近年の中国との緊張関係から、日本でも外国人スパイの活動が増加しているとされ、特に中国の反スパイ法改正後の影響が議論されています。日本政府は、対策の一つとして情報漏洩防止やサイバーセキュリティの強化を進めていますが、法整備の必要性も指摘されています。
各国は自国の利益を守るため、または他国の情報を収集するためにスパイ活動を行っています。特に中国の日本での活動は、法改正による定義の拡大や厳格な監視体制の導入により、注意が必要です。各国ともに、スパイ活動は国家の安全保障に直結するため、情報の保護と対策の強化が求められています。また、スパイ行為に関する法律や対策の違いが、国際関係や国内政策に影響を与える重要な要素となっています。
「スパイ防止法に反対するのはスパイだから」
参考記事
<自由亜州電台>中国人冒充台湾游客在菲律宾拍摄军事活动被捕