黄大仙の blog

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駐パナマ中国大使が米国の脅しを批判

ドナルド・トランプ米大統領が中国に対する10%の関税引き上げを発表した後、中国側は旧正月の連休明け前夜に攻勢をかけました。中央通訊社によると、駐パナマ中国大使の徐学淵は現地時間3日、『パナマ・スター』紙に「アメリカよ、敬意を学んでください」というタイトルの記事を掲載し、中国はパナマに「発展の機会」をもたらし、パナマ運河に脅威を与える唯一の国はアメリカだと主張しました。

  米国議会の出資によって設立された短波ラジオ放送局の自由亜州電台の記事より。

パナマ運河

  徐学淵大使は記事の中で、ルビオ米国務長官が就任後初の公式訪問でラテンアメリカを訪れ、最初の訪問地はパナマで、アメリカ大陸の黄金時代の幕開けとなることを発表し、米政府高官は興奮していると述べました。

 

  徐学淵大使は、「しかし、パナマの人々は不安で、『彼らはここで何をしているのだろう?』とささやいています。米国代表団の訪問は、パナマの主権を損なう熱帯の嵐なのだ。」と述べています。

 

  マルコ・ルビオ米国務長官は中米訪問に先立ち、トランプ大統領グリーンランドを獲得し、パナマ運河の支配権を取り戻したいと考えているのは、北極圏や中南米で中国の活動や影響力が拡大していることへの懸念からくる正当な国家安全保障上の利益によるものだと述べています。

 

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1. パナマ運河開通の経緯

背景と構想:

  パナマ運河の構想は16世紀に遡りますが、実現に至ったのは19世紀後半でした。1881年にフランスのフェルディナンド・ド・レセップスがパナマ運河会社を設立し、運河の建設を開始しました。しかし、地元の地形、気候、そしてマラリアや黄熱病などの感染症により、フランスのプロジェクトは失敗に終わりました。

 

アメリカによる建設:

  1902年、米国議会はパナマ運河の建設を承認し、同年にスペインから独立したばかりのパナマと運河地帯の永久使用権を確保する条約(ヘイ・バノワ条約)を締結しました。1904年、アメリカは建設を再開し、1914年に運河が開通しました。この間、米国は医療面での改善を行い、特に黄熱病の制圧に成功しました。

 

 

2. アメリカがパナマに管理権を譲渡した経緯

パナマ運河アメリカ支配に対するパナマ国民の不満

 

  運河開通後、アメリカはパナマ運河地帯を半永久的に支配し、パナマ政府は事実上関与できませんでした。このため、パナマ国内では次のような不満が高まります。

アメリカの植民地支配に近い状況:パナマ運河地帯はアメリカの主権下にあり、パナマ人の立ち入りや経済活動が制限された。

収益の不公平さ:運河の通行料はすべてアメリカに入り、パナマ政府の収益はごくわずかだった。

民族的な誇りの問題:パナマ国内では「自国の領土にある運河を自国が管理できないのはおかしい」という声が強まった。

 

1964年の反米デモと運河管理交渉の開始

  1964年、アメリ国旗掲揚をめぐるパナマの学生とアメリカ人の衝突が暴動に発展し、アメリカ軍との衝突で死傷者が発生(フラッグ・ポールズ事件)しました。

 

1977年のカーター大統領による運河返還条約

  アメリカのジミー・カーター大統領は、国際社会の圧力とパナマ反米感情を考慮し、1977年に「トリホス=カーター条約」を締結。この条約により、

•19991231日までにアメリカがパナマに運河を完全返還することが決定。

それまでは段階的にパナマ政府の関与を増やし、1999年以降は完全にパナマの管理下に置く。

 

  19991231日、アメリカはパナマに運河を正式に返還し、約100年にわたる支配が終了しました。

 

 

中国の動きとパナマ運河管理権をアメリカが欲しがる理由

 

中国企業の進出

  パナマ運河の返還後、パナマ政府は運営の効率化を図るため、中国企業(香港系企業 Hutchison Whampoa)に港湾管理を委託。これにより、中国の影響力が増しました。

 

  さらに、中国政府はパナマとの外交関係を強化し、経済的な支援を行うことで、運河周辺のインフラ整備や貿易拡大を進めています。

 

アメリカの懸念と再管理を望む理由

  アメリカは、パナマ運河が中国の影響下に置かれることを地政学的脅威と見なしています。その理由は以下の通りです。

軍事的リスク:パナマ運河が中国の影響下にあると、アメリカの艦隊移動に制約が生じる可能性がある。

経済的影響:中国がパナマ運河の通行管理を強化すれば、アメリカの貿易に不利な条件を課す可能性がある。

中国の「一帯一路」戦略との関連:パナマは中国の「一帯一路」構想に参加しており、中国はパナマ運河を通じてラテンアメリカへの影響力を拡大しようとしている。

 

アメリカはこれを阻止するため、パナマ政府との関係を強化し、パナマ運河の管理権を部分的に取り戻す可能性を模索しています。

 

 

  パナマ運河は、アメリカによる建設・管理を経て1999年にパナマに返還されました。しかし近年、中国が経済的影響力を強めたことで、アメリカは再びパナマ運河の管理に関心を示し始めています。今後もパナマ運河を巡る米中の攻防は続くでしょう。


 

参考記事

<自由亜州電台>中国驻巴拿马大使媒体发文批美国威胁

https://x.gd/EnZz7