黄大仙の blog

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中国、人口減少に歯止めをかけるため「医学的でない理由」による中絶を制限する計画

中国計画生育協会(CFPA)は、未婚の女性や10代の少女の中絶数を減らすために「介入」する意向を明らかにしました。中国は2016年までの一人っ子政策とは、真逆の道を歩もうとしています。

  フランス国営メディアのrfiの記事より。

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生活困窮が出生率低下の原因?

  2016年まで40年近くにわたって導入された一人っ子政策により、中国の出生率は大きく低下し、一人っ子政策が廃止され二人っ子、三人子政策が導入されても出生率の低下は止まっていません。

 

  中国の公式発表では総人口は微増を続けていますが、昨年の出生率1000人当たり7.52人は1949年の共産党政権発足以来、最低を記録しています。

 

  2021年末の中国の人口は141260万人と公式に発表されており、2020年と比較して48万人の増加となっており、これは0.034%の増加に過ぎません。

 

  この増加率は、19581961年に中国を大飢饉が襲った時以来の最小増加率となっています。

 

  このままの増加率変化が続くとすれば、2022年以降の出生数は1000万人の大台を割り込むことになります。

 

  世界経済フォーラムは、2100年までに中国の人口は73200万人に減少し、インドやナイジェリアを下回ると予測しています。

 

  人口減少に歯止めをかけるため、中国当局20215月から夫婦が3人の子供を持つことを認めていますが、生活の厳しさや住居費の問題から、この政策に二の足を踏む夫婦が多いとされ、出生数の改善は見られていません。

 

  地方では第3子出産後に取得できる育休を350日に延長するなど、出産を奨励する政策をとるところもあります。

 

 

  このような状況の中、最近では、中国計画生育協会(CFPA)が主に人工妊娠中絶の制限策を講じていることが問題視されるようになりました。

 

  一人っ子政策時代には長年に渡り、多くの女性に中絶を強要してきた中国計画生育協会(CFPA)が、今度は逆の政策を推し進めようとしているのです。

 

  中国計画生育協会(CFPA)2月上旬、妊娠中絶を希望する未婚の女性や10代の少女に「新たな生命」の尊重を促すことで、中絶を思いとどまる手助けをするために介入すると発表しました。

 

  中国の国家衛生委員会によると、2020年の中国における中絶件数は900万件近くになり、そのうちの40%が思春期の少女によって行われるとのことです。

 

  北京産科医院計画生育部の陳素文部長は、中国の中絶の現状は深刻で、年間約800万~1000万件の中絶が行われており、そのうち47.5%が25歳以下の女性、49.7%が未婚の女性が行っていると指摘しています。

 

  中国計画生育協会(CFPA)は、「若者の結婚観や家族観を形成し、家族で複数の子どもを育てる方法を学び直し、結婚や子育てに対する新しい前向きな文化を推進したい」と説明しています。

 

  中国保健企画委員会は「出産件数を改善したいと考えている」と述べており、 これは曖昧な表現ですが、その目的は「中絶を減らすこと」であることは間違いありません。

 

  2021927日、中国政府は『中国女性発展ガイド』で「医療上必要でない中絶を減らす」ことを目指すと強調しました。

 

  これに対してNGO『人権観察』は、「女性はリプロダクティブ・ライツ(性と生殖における個人の自由と法的権利)のために戦い続けなければならない」と遺憾の意を表明しました。 

 

  NGO人権観察は、家族政策が変化している一方で、「変わらないのは、政府が女性の身体を経済発展のための道具と見なし続けていること」だとも指摘しています。

 

   202112月、中国共産党の宣伝機関『中国報』のウェブサイトに掲載された、「共産党幹部に3人の子供を持つことを強制する」という趣旨の記事に対して、数百万人のネットユーザーがコメントを寄せ、その大部分は批判するコメントでした。

 

  その記事には、「官僚や党幹部が結婚しない、子供を作らないということは、客観的にも個人的にも許されないし、子供が一人、二人しかいないことも許されない」と主張しています。

 

  さらに記事では、「すべての党幹部は、国の人口増加に貢献する責任と義務を負い、3人っ子政策に則って行動すべきである。」と述べています。

 

  中国共産党が国民の私生活に干渉していることを暴露したこの記事は、多くのネットユーザーから批判を受けて、今では削除されています。

 

 

  過去には、人口が爆発的に増えたから『一人っ子政策』で「産むな増やすな」を国民の意識に植え付け、出生率が低下しすぎたら、慌てて子供増産政策を国民に押し付けるという極端な政策が続く中国ですが、大失敗中の『ゼロコロナ政策』と並ぶ大失政として、共産党政権を揺るがすことにならなければいいのですが。

参考記事

<rfi>中国为遏止人口下降 打算限制非医疗理由的堕胎

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