黄大仙の blog

何にでも首を突っ込みたがる好奇心旺盛なOJISANブログです。

中国経済が問題だらけなのに、なぜ公的統計では活況を呈していることになっているのでしょうか?

大躍進運動当時、毛沢東政権下では、恐怖心からか無知からか、右派の烙印を押されることを恐れた地方の指導者が、穀物生産量を偽っていました。今日、 一部のエコノミストは、この悪循環が再び始まるかもしれないと見ています。

  ゼロコロナ対策による都市封鎖の広範囲な実施、不動産市場の継続的なショック、2021年のテクノロジー産業の取り締まりにもかかわらず、中国はかなり良い経済成長率と工業生産の数字を報告しています。

コロナ禍でも経済成長を続ける中国

  あるエコノミストは、「下層部では、お粗末な報告や政治的な動機による数字が多く、上層部は何をすべきかわからない、あるいは事実を知りたくないことが中国にとってはまだ問題だ」と述べています。

 

  中国国家統計局が発表した202213月期の国内総生産GDP)の年間成長率は4.8%でした。また工業付加価値額は前年同期比6.5%増でした。

 

  新型コロナの発生以前はそれほど声高に叫ばれていなかった経済数値に対する疑念は、中国の中産階級の拡大と製造品輸出の活況に隠れていました。

 

  しかし今、中国GDP166千億米ドルというニュースの見出しにあるデータは、多くの問題を抱えているとして、新たな疑問を投げかけています。

 

  GDPの数字が高く見える今、中国国外のエコノミストからは「これはちょっとおかしい」という声が上がっています

 

  米国に本部を置くアトランティック・カウンシルのアジア安全保障イニシアチブ上級研究員デクスター・ロバーツ氏は、「エコノミストはこれらの統計の信頼性を本当に疑っている」と述べています。

 

  世界最大の海港都市である上海は先月から、新型コロナの蔓延を防ぐために数百万人を自宅に閉じ込め、サプライチェーン、工場生産、出荷に影響を及ぼしています。 

 

  2021年末、中国の規制当局はアリババやテンセントなどのテクノロジー企業を取り締まりを強化し、ユーザーデータの悪用や独占的な行為を指摘し、これを阻止しました。

 

  ユタ州立大学アジア史のブラウン助教授は論文の中で、「『偉大なる指導者』の『大躍進運動』が成功したかのような印象を与えるため、穀物生産に関するデータが捏造され、それが、実は大飢饉につながっていた。」と述べています。

 

  前述のロバーツ氏は、「現在の共産党GDPの高い数値を求めるのは、『パンデミックへの対処の成功に自らの正当性を賭けている』からだ」と指摘しています。

 

  フランスの投資銀行ナティシスのアジア太平洋地域チーフエコノミストアリシア・ガルシア・エレロ氏は、トレーダーや投資家などは、中国経済の実態を把握するために、より詳細なデータを利用しようとしていると指摘しています。

 

  エレロ氏は、 「貿易、製造業、日常消費、失業率などの月次データは、四半期ごとの工業付加価値やGDPの数字よりも重要だ」と述べています。

 

  さらにエレロ氏は、「高頻度のデータは、GDPよりもずっと悪い状況を示している。特に消費がそうです。先月は輸入が減少し、輸出の伸びも鈍化しました。 国内では、3月の中国一般製造業PMI25ヶ月ぶりの低水準に落ち込み、 3月の住宅販売、小売取引、失業率のすべてが悪化しました。」と述べています。

 

  しかし、第一四半期(13月期)の国家統計局のデータは、物品貿易は前年同期比10.7%増、消費財の小売売上高は前年同期比3.3%増となりました。

 

  第1四半期は、金融の中心地である上海とハイテク産業の中心地である深圳で、ゼロコロナ対策として都市封鎖されるまでの、実質2カ月間でした。

 

  ロバーツ氏は、いくつかの数字が互いに矛盾しており、セメントや鉄鋼製品は第1四半期に弱くなったが、固定資産投資、つまり建設、土木、インフラ整備、設備への支出は同じ期間に9.3%増加したと指摘しています。

 

  駐米中国大使館の劉鵬宇報道官は、「新型コロナの影響はあるが、中国の実体経済は引き続き増加しており、工業投資は成長基調を維持しています。」と述べています。

 

  劉鵬宇報道官は続けて、「中国は依然として欧米のブランド企業にとって魅力的な優良市場である」と述べています。

++++++++++++++++++++++++++++++++

 

  中国の統計データが信頼できないことは、現首相の李克強が以前から指摘しており、李克強中国経済の実体を把握するための指標として、統計操作がしづらくて信頼性の高い「電力消費量、鉄道貨物輸送量、銀行融資残高」の3つをもとに作られた、いわゆる『李克強指数』を用いていたことで明らかです。

 

  新型コロナの影響で世界の経済が減退する中で、中国が一人勝ちの状態であることに、世界中が違和感を感じ始めているようです。


 

参考記事

<美國之音>中国经济问题重重 为何官方统计数字一片繁荣?

http*://bit.ly/38fYuH1