中国の出生率は下がり続け、2023年には1949年以来最低となるなか、福建省泉州市の人口政策文書のスクリーンショットがインターネット上に出回り、「党員と幹部、各級当局、国有企業、機関の幹部が率先して3人の子供を持つべき」と記載されていたことから、当局の「手口を変えた出産強要」を疑う世論が巻き起こりました。
米国に拠点を置き、中国、台湾、香港、マカオの政治、経済、社会、生活、金融などのニュースを世界中の華人向けに発信するメディアの世界新聞網の記事より。
このニュースが発表されるやいなや、微博のユーザーたちの間で大きな議論が巻き起こりました。
一部のネットユーザーは、「規制がおかしい。子供を産むことを強要できるのか? 擁護することはできるが、強制することはできない。」と投稿しています。
また、「47歳にもなって、まだ3人も産めと言われても困る。」や「産めなかったらどうするんだ。」との声もありました。
上海界面新聞は福建省泉州市衛生委員会に上記の文書の信憑性の確認を求めたとして、泉州市衛生委員会は、「これは泉州市の政策文書であるが、まだ意見の段階であり公開されていない。職員が誤ってインターネットに送信してしまい、議論を引き起こしてしまった。」と指摘したと界面新聞のWebページに掲載しました。
しかし翌日には界面新聞の当該ページには、『世界の果てはこちら、界面新聞のトップページにお進みください』とだけ表示されていました。
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インターネット上に出回った政策文書では、2035年の目標について、人口の長期的な均衡のとれた発展を促進するためのより完全な政策・規制体系、サービス・管理水準の向上、適切な少子化水準、人口構造の改善、よりよい出産、よりよい子育て、よりよい生活を求める人々のニーズを満たす幼児へのサービス水準、家族の発展能力の大幅な向上、人間の全面的な発展における明らかな進歩などが挙げられています。
また、主要な任務と措置の項では、3つの主要分野が挙げられています。
1つ目は、3人っ子政策の実施を組織化すること、
2つ目は、出産制限措置を廃止し、人口動態に適応しない政策文書や社会措置を一掃すること、
3つ目は、人口サービス体系を改善し、「一老一小」の全面的な解決策を完成させ、ライフサイクルをカバーする人口サービス体系を確立・改善する。
界面新聞はまた、以前にも他の地方文書にも、党員と幹部は、率先して子供を3人持つことが必要であると表現されていることを指摘しています。
例えば、2023年11月、湘潭市岳塘区のあるコミュニティーでは「『和諧社会全面3人子』政策を推進するための複数の措置」に関する宣伝会議を開き、「党員と幹部に、国の最適出産政策を宣伝・指導し、率先して実施し、意識的に実行するよう呼びかけ、人口の長期的な均衡ある発展の促進に積極的に貢献する 」と表現していました。
香港メディアの報道によると、2021年に中国の3人っ子政策が実施されて以来、保育補助、住宅購入の優遇、休日保育など、3人っ子政策を実施するために地方がとる具体的な措置に注目が集まり、いずれも議論を呼んでいます。
今回配布された文書は、人口政策と関連するサービス管理を対象としており、表現としては、各地域が打ち出した少子化政策の最適化、長期的なバランスの取れた人口発展の促進に関する文書に近くなっており、各課題において、衛生委員会や教育局などの責任単位も明記されています。
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2023年の中国の出生数は902万人で、出生率は1,000人当たり6.39と1949年以来過去最低となりました。
死亡数は1,110万人に達し、死亡率は1,000人当たり7.87と3年連続で増加、自然人口増加率は1,000人当たり-1.48人と2年連続でマイナス成長となりました。
この結果、総人口は2年連続で減少を記録、2022年の85万人減に比べて2023年の人口減少幅は208万人と2倍以上に拡大しました。
2021年5月31日、突然中国政府は「三人っ子政策」を発表しました。6月1日は「児童節」(子供の日)ですが、その前日に発表された三人っ子政策は、一般市民特に女性には不評で概ね歓迎されていません。
歯止めがかからない少子化に焦った地方政府は、共産党員や政府幹部に三人っ子政策を徹底させることで、一般市民にも広げようと狙っているようです。
でも、人は孵卵器じゃありませんから、『産めよ増せよ』の掛け声だけでは産みませんね。
参考記事