中国の元高官からの性的被害をSNSで告発したとされる、中国の女子プロテニス選手彭帅選手の消息が報道されなくなって久しい。最近、女子テニス協会(WTA)のサイモン会長は、彭帅事件の解決策を模索中で、今年の女子テニス大会は中国に戻らないと述べました。
米国に拠点を置き、中国、台湾、香港、マカオの政治、経済、社会、生活、金融などのニュースを世界中の華人向けに発信するメディアの世界新聞網の記事より。
WTAのスティーブ・サイモン会長はポッドキャストの番組「Tennis Podcast」に出演し、「WTAは彭帅事件の解決策を模索中で、彭帅、中国政府、女子テニス協会が納得するような解決策を見出したい」と強調しました。
サイモン会長は、「WTAは中国から手を引こうとしているのではありません。解決策が得られるまで中国でのイベントを中断するだけです。」と述べました。
続けてサイモン会長は、「2023年には進捗を示す提案書をもって、中国に戻ることができるようにしたいと考えています。 それが実現できれば、世界の勝利となるでしょう。」と述べました。
彭帅選手は、2013年ウィンブルドン選手権、2014年全仏オープンの2大会のダブルスで、台湾の謝淑薇選手とペアを組み優勝しています。
彭帅は昨年11月2日、微博への投稿で、中国共産党政治局常務委員で元副首相の張高麗氏との長年にわたり性的関係の持った後、遺棄された実態を明かしました。
この投稿は、掲載から20分ほどで削除されましたが、 中国の最高指導層の人物が実名で告発されたのは初めてで、中国国内はもとより国際的にも大きな関心を呼びました。
その後、彭帅は姿を消し、中国当局は彼女に関するあらゆる議論を封じ、『彭帅』は敏感なワードとなりました。 彭帅の失踪 には疑問があり、その安否は案じられました。
国際的に強い圧力を受け、彭帅は何度か姿を現しましたが、明らかに意図的な操作の下に行われたものとの疑いがはれません。
国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長も、彭帅と何度かビデオ会談をし、11月21日の初めてのビデオ会談では、その時彭帅が「安全だ」と言ったと主張しました。
しかしバッハ会長はこの時、彭帅が無事であったというだけで、それ以外の詳細については何も明らかにしなかったため、IOCは中国共産党の対外宣伝の道具として働いている、という批判が広まりました。
12月2日に、バッハ会長は彭帅と2回目のビデオ通話を行ったと発表しました。 バッハ会長は声明の中で、彼女は「よくやっている」ように見えると述べましたが、ビデオや記録を一切公開せず、張高麗の性的暴行疑惑にも言及しませんでした。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は、IOCが中国政府と結託して、中国共産党幹部の性的虐待をスポーツを利用して「白紙化」していると批判しています。
女子テニス協会(WTA)は昨年12月、中国での大会をすべて中止すると発表しましたが、これによりWTAは放送・スポンサー料で数億円の損失を被ると見られています。
WTAは、彭帅の疑惑について正式な調査を行うべきだと主張し、彭帅と個人的に会う機会を要求しました。
昨年12月19日には、FISクロスカントリースキー中国ツアー上海大会を観戦中の彭帅さんを、シンガポールの親中国メディアである聯合早報がインタビューしたと報じましたが、明らかに意図的に用意された設定であったと見られています。
北京冬季オリンピック開催中の今年2月5日に、IOCのバッハ会長らが北京で彭帅と会談しましたが、会談後の記者会見で「彭帅が裏で脅迫を受けて会談に臨んでいたかどうかを判断することはできなかった。調査を開始するかどうかを決定する権限は、IOCにはない」と述べました。
彭帅の外部との接触は、すべて中国共産党が直接操作し、手配していると観測されています。
この事件の当事者であり、2018年に引退した張高麗元副首相は、今のところ、彭帅の自分に対する疑惑に対して公の場で何の反応も示していません。
中国共産党の最高支配層の私生活に関する公的情報には、ほとんどアクセスすることはできず、彼らの引退後は、たまに式典に顔を出す程度で、表舞台から姿を消してしまいます。
彭帅も外部との接触は、すべて中国共産党が直接操作し、手配していると観測されています。
彭帅選手も、張高麗元副首相も現在の消息は全く報じられなくなりましたが、世間が忘れてしまったら、中国共産党の思う壺です。
参考記事
<世界新聞網>女网赛事暂不返中国 WTA:仍待彭帅事件有个交代
http*://bit.ly/3OPSdlW
<自由亜州電台>彭帅事件未解决 国际女子网球协会:暂不返回中国
http*://bit.ly/3y5uqZA
<美國之音>WTA努力解决彭帅事件僵局 今年不会重返中国举办女网赛事
http*://bit.ly/3OOydA3