台湾の外交努力の結果、カタール・ワールドカップ主催者は、台湾のファンが、ワールドカップの観戦チケットを「台湾」国籍で申請できるようにすることに同意しました。台湾にとっては、珍しい外交的勝利です。
米国国営メディアの美國之音の記事より。
カタールで開催されるワールドカップでは、現地観戦するファンに「ヘイヤ・カード(Hayya card)」と呼ばれるファンIDが発行され、入国ビザとスタジアムへの入場チケットの役割を果たすことになっています。
ヘイヤ・カードは、すでにチケットの支払いを完了し、申請番号を所持する人が、専用アプリやウェブから申請することができます。
しかし、台湾メディアによると、アプリなどでIDを申請する際、入力する国籍欄には「台湾」や「チャイニーズ・タイペイ」などはなく、「中国」や「中国台湾」のみが選べる状態でした。「中国台湾」には、台湾は中国の一部だとするニュアンスがあるのは明らかです。
台湾当局はこれに抗議したところ、W杯主催者は、アプリの国籍申請欄に中華民国の国旗に加え、「中華民国台湾省」の記載を追加しました。
しかし、この改善は台湾側には受け入れられず、台湾側は、「我が国を矮小化するものであり、容認できない」とし、「台湾は関連機関が直ちにその行為を正すことを期待している」と述べました。
カタールW杯の主催者は、台湾の抗議を全面的に受け入れ、「中国台湾省」の言葉を削除して「台湾」という言葉と、中華民国の国旗を残しました。
台湾外交部の欧江安報道官は、16日の定例記者会見で、カタールW杯の主催者が台湾の要求に迅速に対応したと、主催者と各界の友人が台湾に与えた支持と援助に感謝と認識を表明しました。
中国政府は、「台湾は中国の一部である」と主張し、 台湾に北京の統一主張を受け入れさせるために、様々な手段を使って、台湾の参加や関与を拒否するように様々な国際組織に働きかけています。
それができない場合には、台湾代表は「台湾」ではなく「中華台北」の名で参加させるよう関係機関に圧力をかけています。 中国のメディアでは、近年「中華台北」という名称も「チャイニーズタイペイ」に変更されています。
国際的なイベントや競技会では、常に台湾は抗議してきましたが、その主張が尊重されることはありませんでした。 カタールが台湾の要請を受け入れ、台湾のファンが「台湾」の名で参加できるようにしたのはとても珍しいことです。
カタールは台湾と外交関係を結んでいないのにも関わらず、台湾の要請を受け入れることは滅多に無いことであり、最近の中国の国際的イメージの劇的な低下と関連しているという観測があります。
ロシアによるウクライナ侵略戦争勃発以来、中国は中立を装いながら、実際にはロシア側につき、ロシアの侵略を非難しないばかりか、国家プロパガンダを使ってロシアの侵略を正当化し、欧米による対露制裁に反対しています。
中国外交部の汪文斌報道官は、16日の定例記者会見で、外国メディアの記者からこの件へのコメントを求められ、(仏頂面をしながら)「常に説明している通り、台湾は中国の一部であり、一つの中国の原則を遵守することは、国際関係の基本的な規範であり、国際社会の一般的なコンセンサスです。私たちは、関係者が一つの中国の原則を遵守し、国際的なスポーツイベントの通常の慣行に従って関連事項に対処すると信じています。」と答えています。
カタールW杯は今年11月に開催されますが、中国がカタールに報復するかどうかはまだわかりません。また、中国代表チームは予選で敗退しており、カタールW杯への出場権はありません。
カタールの英断には拍手を送りたいと思います。
参考記事
<美國之音>台湾取得一项罕见的外交胜利,卡塔尔世界杯向台湾球迷开放
http*://bit.ly/3b7uK08