黄大仙の blog

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中国の全国都市部失業率が0.2ポイント改善、農民工失業率が0.4ポイント改善 中国当局発表

中国国家統計局615日の発表によると、5月の全国雇用情勢は、失業率は低下し概ね改善しました。 全国都市部の失業率は5.9%となり、前月から0.2ポイント低下、このうち主要な就業者層である25歳から59歳の失業率は5.1%で、前月から0.2ポイント低下しました。また、5月の農民工失業率は6.2%で、前月より0.4ポイント低下しました。

  中国国内のニュースサイトの百度新聞に掲載された記事より。

招聘会で職を求める人たち

  国家統計局報道官兼国民経済総合統計部部長の付凌暉は、「5月は、2559歳の失業率が5.1%となり、前月を0.2ポイント下回った。就業分野の全体的な改善が示されている」と説明しました。

 

  付凌暉歩道館は、「5月の外来農業戸籍者の調査失業率は6.2%で、前月を0.4%下回った。これらの主体となっているのは出稼ぎ労働者で、主に製造業、建設業、卸売・小売業などの労働集約型産業に従事している。5月に出稼ぎ労働者の就業状況が改善したことは、経済全体の改善と、雇用安定政策の効果発揮を反映している」との考えを示しました。

 

  しかし、国家統計局のデータによれば、5月の都市部の若年層失業率(16~24)18.4%で、過去最悪を記録した4月の18.2%よりも、さらに0.2ポイント悪化しました。

 

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  付凌暉報道官は、若者の失業率が高い主な原因は、企業が疫病の影響で生産・運営が困難になり、雇用吸収能力が低下したこと、若者は安定性の高い仕事を求める傾向が強く、需要と供給の矛盾を深刻化させたことだと指摘しました。

 

  中国では、6月に卒業シーズンを迎え、労働市場に参入する大卒者が集中することで、雇用の重圧はさらに増すと思われます。

 

  中国国内メディアが、5月の失業率が改善したことを強調し、経済が回復基調にあると報じているのに対し、米メディアは異論を挟んでいます。

 

  米国メディアの自由亜州電台は、国家統計局のデータでは、中国の5月の消費財小売総額が前年同月比6.7%減となり、3ヵ月連続の減少となっていたこと、5月の不動産開発投資が前年同月比4%減と、14月期の2.7%減を上回る落ち込み幅で、20203月以降で最悪となったことを伝えています。

 

  エコノミストは、雇用情勢と社会の消費力には相関関係があり、ここ数ヶ月、中国の消費額が減少していることから、中国の実際の失業率は公称の5.9%よりはるかに高いと推定されるとしています。

 

  失業者が多ければ多いほど、国民の消費意欲は低下し、企業が生産した余剰製品が滞留し、売れ行きが悪くなって製品価格が低下し、当然消費財の小売総額は減少します。

 

  中国の公式失業率には裏があり、 『柔軟な雇用(flexible employment)』の労働者は失業者にカウントされません。

 

  『柔軟な雇用』とは、パートタイム労働者、季節労働者、労働契約労働者、労働派遣労働者、自営業者、個人的な立場で専門的な活動に従事するフリーランサー、ファミリーヘルパー(家族が生産やビジネス活動に従事するのを助ける人)のことで、収入が安定せず、社会保障もほとんどありません。

 

  このため、実際の失業率は、公式の失業率よりも大きいと推測され、中国経済が回復基調にあると言うのは時期尚早だと指摘するエコノミストもいます。

 

  エコノミストは、「確かに個別にはプラスの変化をするデータもあるが、株価の変化と同じで、長期間の下落基調にあっても、日々の変化では上げ下げを繰り返す。」と指摘します。

 

  同エコノミストは、続けて、「ある日、好転が見られることがあると、たとえ小さくても、政府はそれを使って市場の期待を煽り、導入した政策の効果があることを示す。しかし、実際には谷を抜けて反発を実現するにはまだ遠い」と指摘しています。

 

  別のエコノミストは、「失業率、消費、不動産データの不調はすべて社会の将来と展望に対する自信のなさを反映しているとし、中国政府は緊急課題として、一刻も早く過剰な疫病予防と抑制を止め、社会の将来の生活に対する自信を回復させなければならない」と指摘しています。

 

  中国経済の見通しは、決して明るいものでは無いようです。

参考記事

<百度新聞>5月份全国城镇调查失业率同比下降0.2个百分点

http*://bit.ly/3mVnOpD

<自由亜州電台>中国失业率两统计数字创新高 实际失业率又如何?

http*://bit.ly/3QrvdL6