卵子凍結保存を希望した北京の女性が、未婚であることを理由に断られ、病院を相手取って起こした裁判の判決が出ました。判決では女性の訴えは却下されました。
中国国内のニュースサイト百度新聞に掲載された記事より。
4年前の2018年12月に、当時30歳の徐棗棗さんは、将来の出産に備えて卵子を凍結保存したいと、北京にある首都医科大学附属北京産婦人科医院に相談しましたが、健康診断では何の問題もなかったのに、彼女が独身であることを理由に卵子凍結保存を拒否されました。
納得できなかった徐棗棗さんは、病院に対して卵子凍結保存の実施を求めて訴訟を起こしました。
原告の徐棗棗さんは、「結婚は出生を達成するための手段に過ぎず、前提ではない。我が国の法律は独身女性が生殖する権利を否定していない。」「医院の行動は、女性の地位を差別し、男性と女性の平等に関する我が国の女性の権利と利益の保護に関する法律の関連規定に違反している。」と主張しました。
被告の北京産婦人科医院は裁判中に、「卵子凍結保存は、病気のために自然に妊娠することができず、出生力を維持する必要がある女性のための生殖補助医療である。原告を含む健康な女性は対象外である」と主張しました。
第一審は北京朝陽区人民法院で審理され、7月22日に「原告の訴えを却下し、北京産婦人科医院が原告に卵子凍結サービスを提供することを拒否することは違法ではなく、その一般的な人格権の侵害を構成するものではない」との判決を下しました。
裁判に敗れた徐棗棗さんは判決後のインタビューで、「一審判決は私の意思を変えさせることはできない、控訴します。」と答えています。
中国では、独身女性の卵子凍結保存は、2003年の中国衛生部(現在の中国国家衛生健康委員会)によって公布された《人類補助生殖技術規範》で禁止されています。
日本の場合は、「悪性腫瘍などの治療等、医学的介入により性腺機能低下をきたす可能性があり、本人が希望する場合には、未受精卵子および卵巣組織を凍結・保存することができる。」となっていて、独身既婚を問わず可能なようです。
また、凍結保存は3年間は保険が適応(2022年4月より)なので、また中国から日本に来て、卵子を凍結保存する中国人女性がわんさか出てくるんでしょうね。
中国では昨年、AIが胚から育てる人工子宮システム「AI乳母」が開発されたそうなので、中国女性が妊娠出産から解放される日も近いのかもしれません。
参考記事
<百度新聞>全國首例“單身女性凍卵案”一審敗訴