中国国家医療保障局は米ファイザーの経口抗ウイルス薬「Paxlovid(パキロビッド)」を公的医療保険でカバーされる医薬品のリストに含めるための交渉が決裂したと発表しました。ファイザーが設定した価格の高さが原因だとしています。
米国議会の出資によって設立された短波ラジオ放送局の自由亜州電台の記事より。
中国国家医療保障局は公式ウェブサイトに、「国保管理局薬剤管理部長が紹介する2022年薬価改定交渉への新型コロナ治療薬の参画について」の通知を掲載しました。
今回の交渉には、米ファイザーの経口抗ウイルス薬「Paxlovid(パキロビッド)」の他、中国で開発された抗ウイルス薬「阿兹夫定片」と漢方薬「清肺排毒颗粒」の合計3つの新薬が参加しました。
この中で、阿兹夫定片と清肺排毒颗粒の交渉は医薬品のリストに加えられましたが、パキロビッドはリストに加えられませんでした。
中国国家医療保障局の声明によると、すでに新型コロナウイルス感染症の治療に使われているパキロビッドは、中国の現行方針に基づき、3月31日まで引き続き公的医療保険で一時的にカバーされます。
中国政府は昨年2月にパキロビッドの輸入販売を許可していましたが、患者は処方箋をもらわなければ購入できませんでした。感染拡大とともに、パキロビッドの価格は数千元、数万元と跳ね上がっています。
パキロビッドは『奇跡の新薬』として知られており、今回の交渉決裂に対し、中国のSNSでは、「政府は感染症に対して『何としても』人々の命と健康を守るとしばしば表明しているのに、いまだに命より価格重視に見える」と疑問の声が上がっています。
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ファイザー製のパキロビッドは、日本では一般流通は許可されておらず、供給は厚生労働省による管理下にあります。
医療機関からの要請があり、かつ厚生労働省が指定した条件を満たした場合のみ、厚生労働省から提供される形になっており、 許可条件は重症化リスクの高い患者に限定されます。
また、使用を望む医療機関は「パキロビット登録センター」に登録申請を行う必要があるとのことです。
参考記事
<自由亜州電台>中国官方:Paxlovid太贵不纳入医保 网民:价格至上