中国の習近平国家主席は20日からロシアを訪問し、ロシアのプーチン大統領と会談します。米政府は、中国がウクライナのゼレンスキー大統領と接触するよう繰り返し求め、中国が露・ウクライナ戦争における「平和の使者」として自らを演出することに懸念を表明しました。一方、国際刑事裁判所(ICC)は、ウクライナに対する戦争犯罪の容疑でプーチン大統領に逮捕状を発行しました。
米国議会の出資によって設立された短波ラジオ放送局の自由亜州電台の記事より。
ロシア・中国両政府は3月17日、中国の習近平国家主席が20日から22日にかけてロシアを訪問し、プーチン大統領と会談すると発表しました。同時に、米国政府も同日に警告を発しました。
米国防総省のジョン・カービー報道官は、17日の記者会見で、来週モスクワで行われる中露首脳会談で、中国が露・ウクライナ戦争における「平和の使者」として自らを演出しようとすることを米国は深く懸念していると語りました。
カービー報道官:「中国は停戦仲介のアイデアを思いつき、戦争の終結を求める唯一の当事者であるとして、自らを平和主義者として演出しようとするかもしれない。しかしそれは事実上、ウクライナを犠牲にしてロシアを利することを意味します」
カービー報道官は、先月のロシアとウクライナの停戦を求める中国共産党の声明にも言及しました。「この声明は合理的に見えるが、実際には今停戦すれば、ウクライナにおけるロシアの領土「武力征服」を合法化することになる」
ロシア・ウクライナ戦争開戦1周年にあたる2月24日、中国外交部は「ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場」と題する文書を発表し、できるだけ早く直接対話を再開し、包括的停戦に導くことを支持すると表明しました。
この中国の平和提案は、米国、ウクライナおよびその同盟国から、ロシアの侵略に対する責任を追及できていないとして疑問視されています。
同時に米政府は、ロシアからの一方的な主張を受け入れるだけでなく、中国がウクライナに関与することを改めて求めています。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は最近、習近平がモスクワ訪問後にゼレンスキーと話をする可能性が高いことを明らかにしています。しかし、中国当局者はこの情報をまだ確認していません。
ペンシルベニア大学現代中国研究センターのNeysun Mahboubi氏は、習近平の訪ロの主な目的は、中国国民に習近平がグローバルな政治家であることを示し、米国に対しては中国が米国操られているわけではないことを示すことだと考えています。
Mahboubi氏は、「中国がロシアとウクライナの双方、特にウクライナ側が受け入れられる条件で戦争を終わらせることができれば、素晴らしい成果であり、中国のグローバルイメージを強化できるだろう。 だが、そのような結果は起こりそうもない」と述べています。
Mahboubi氏は、現時点での中国にとってのベストシナリオは、国内を含む全世界の聴衆の前でロシアとウクライナの仲介役を務めることだと考えています。
露中両首脳は、国際舞台での露中協力の拡大について話し合うとみられています。
ロシア政府によると、露中双方は会談中に多くの重要な二国間協力文書に署名する用意があるそうです。中国外交部の汪文斌報道官は17日の定例記者会見で、「中国は平和の説得やウクライナに関する協議の推進に建設的な役割を果たす」と述べています。
米国の政治ニュース誌「ポリティコ」は16日に、中国がロシアに武器を輸出している新たな証拠があることを明らかにしました。
同誌が税関データ集計会社ImportGeniusから入手した情報によると、中国政府関連の事業体を含む中国企業がロシア側にアサルトライフル(突撃銃)1000丁を送ったほか、ドローン部品や防弾チョッキなど軍事利用が可能な装備もあります。
この点に関して、米国務省および国防総省は正式な表明はしていません。しかし、カービー報道官は17日の記者会見で、「このライフルがロシア・ウクライナ戦争の戦場で使われたという具体的な兆候はない」と述べています。
参考記事
<自由亜州電台>美国白宫警告习近平访俄 普京遭国际通缉