中国の消費力不足は続いており、今年に入り、老舗百貨店10店舗が大きな経営圧迫を理由に閉鎖を発表しました。主な理由のひとつは、「客足が減少し、集客が難しい」ことで、百貨店業界は二極化への転換を余儀なくされています。
米国に拠点を置き、中国、台湾、香港、マカオの政治、経済、社会、生活、金融などのニュースを世界中の華人向けに発信するメディアの世界新聞網の記事より。
消費力不足の根本原因はやはり不動産不況であり、そのため中国当局は輸出産業に頼って「旧態依然」の景気下支えを行なっているが、欧米諸国が中国の過剰生産能力を非難しているため、景気押し上げには逆風が生じたと分析されています。
LinkShop(聯商網)の小売リサーチセンターの統計によると、2024年までに10の老舗百貨店が閉店を発表しており、そのうち5店舗は完全に閉店し、残りの5店舗はアップグレードするか、解体して建て替える予定だとのことです。
その中で最も歴史が浅いのは天津市浜海新区伊勢丹で、開店からわずか11年しか経っていません。大手百貨店の閉店理由をまとめると、リース期限切れが最大の理由となっていますが、リース期限切れで更新しない背景には営業圧力があるとされています。
例えば、上海梅龍鎮にある伊勢丹の運営会社のデータによると、2023年3月から11月までの営業利益は約3億7600万円 の赤字で、前年同期の2億6600万円の赤字からさらに拡大しました。そして、これは氷山の一角に過ぎないのです。
中国百貨店商業協会と馮氏集団李豐研究センターの調査報告によると、客数では、2023年のサンプル企業の70.1%が2019年の客数を下回っており、売上高では、サンプル企業の64.9%が2019年の水準まで売上規模を回復していません。
データによると、百貨店ビジネスは大きなプレッシャーにさらされており、それが閉店の波を引き起こしています。上述の報告によると、サンプル企業の60%が、eコマースの継続的な影響が自社の発展にとって大きな課題であると考えています。
第二の大きな課題は、コスト上昇圧力です。半数以上の企業(53.8%)が、現在の課題は客足の減少と集客の難しさであると考えてori,
百貨店小売業界は挑戦と変革に直面しています。
報道によれば、百貨店業界が困難に直面しているにもかかわらず、ハイエンド路線のビジネスにはまだ市場があると指摘しています。例えば、高級ショッピングモールの売上とテナント売上では、上海の恒隆広場(プラザ66)がそれぞれ10%と24%の成長を記録しました。
もうひとつのトレンドはコミュニティの商業化で、大手Eコマース・プラットフォームのアリババや京東がコミュニティのグループ購買に回帰しているほか、百貨店各社も一部の店舗がコミュニティセンターへと変貌を遂げ始めており、ビジネスチャンスを見出しています。
4月初旬に訪中したイエレン米財務長官は中国政府高官に対し、経済を支えるために輸出に頼るのをやめ、代わりに国内消費を促進する政策を実施するよう呼びかけましたが、このことは世界市場を直撃する中国の過剰生産能力の問題を再び世論の前面に押し出しました。
米国の独立系コメンテーター鄭旭光氏は、「中国経済の高い輸出依存度は、今や経済問題というより政治問題である。習近平国家主席は高い経済成長を維持したいが、不動産、中小銀行、地方債の相次ぐ地雷により、過去80年間と同じように外国から投資を引き込み、輸出産業に依存する道を歩むしかない。」と述べています。
米国の一部の専門家によれば、構造的な抵抗が中国の消費の不振を招いており、恐怖に駆られた過剰な予防貯蓄を減らすためには社会保障改革が必要だと指摘しています。
参考記事
<世界新聞網>消费弱 今年来10家老百货阵亡 零售业被迫两极化转型