ブリンケン米国務長官の訪中が訪中を終えて中国を離れた同じ日に、中国全国人民代表大会が関税法を可決しました。新関税法は貿易相手国が中国の輸出品に関税を課した場合、報復できる権利が盛り込まれているため、国際社会の反発を呼んでいます。
米国議会の出資によって設立された短波ラジオ放送局の自由亜州電台の記事より。
12月1日に施行される新関税法は、従来の輸出入関税規則に代わるもので、全国人民代表大会(全人代)常務委員会が4月26日に開いた第9回会議で採択されました。
米国とEUが中国の工業生産能力の過剰によるダンピングの可能性に懸念を表明し、いくつかの調査を開始したことへの対抗のためです。
ロイターは報道の中で、中国の新関税法は、中国が主要貿易相手国に対して、他国が中国の輸出品に課す関税制限に対抗する能力を持っていることを示す方法として、2022年から起草されたと指摘しています。
アナリストはまた、中国と欧米との貿易関係が緊迫化していることで、中国当局が既存の措置を強化・変更する必要性を確信していると指摘しています。
シンガポール経営大学の高樹超(ヘンリー・ガオ)教授は、「中国の新関税法は核兵器のようなものだ。自ら使うためでなく他国に関税を使わせないことに意義がある。関税を課せば、中国には報復する権利があると主張している。」と語っています。
中国の関税法第17条は、中国が最恵国待遇または関税特恵条項を締結した国が、相互主義の原則に基づいて対応する条項を履行しなかった場合、中国はそれに応じて関連する対応措置または報復措置を提案できると定めています。
北京を拠点とする德和衡(DHH)法律事務所のパートナー林倩氏は、「これが中国の輸出入に大きな影響を与えるかどうかを判断するのは難しい。」と述べています。
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中国のダンピングや輸出補助金による不公正貿易への対抗の動きが、欧米で活発になってきており、中国製品への関税を課すことが検討されています。
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また、2018年に中国の知的財産権侵害を問題視し、中国からの輸入品の一部に制裁関税を発動したトランプ前大統領は、もし大統領に再選された場合には中国からの輸入品に対して一律60%の関税を課すことを検討していると報じられています。
トランプ前大統領、中国への関税検討 大統領就任なら一律60% - 日本経済新聞
トランプ前大統領の制裁関税は4回に及び、これに対して習近平国家主席も報復関税で対抗し貿易摩擦が激化したことは記憶に新しいことでしょう。
新関税法が無くても中国が報復関税を課すことはすでにやっていることなのですが、あえて新関税法で『報復可能』としているのは、国際社会に対して「安易に関税を課すなよ」と警告しているつもりなのでしょう。
穿った見方をすると、本当は関税を課してほしくないという気持ちと裏腹なのかもしれません。
参考記事
<自由亜州電台>中国通过新关税法 可对他国进行反制